将棋の女流棋士として初めて男性棋士から勝ち星を挙げた中井広恵女流六段(55)は、女性初の棋士となった西山朋佳白玲(清麗・女流名人・女流王将=31)の進化に「思ったよりスピード的に速い。びっくりしました」と話した。
中井は1993年(平5)12月、第7期竜王戦のランキング6組予選で池田修一六段(48=当時)を破った。女流棋士の公式戦参加は、81年の新人王戦で初めて認められた。以来13年、38連敗していた。「私の時はたまたま。時間がかかったイメージがありました。今は間違いなく実力で勝っている。レベルも上がっており、過去とは比較の対象にならない」と言う。
その要因として、裾野が広がったことを挙げる。「女性で将棋を楽しむ人口が増えたのが大きいと思います。それが女流棋士の増加にもつながっていると思います」。アマ強豪、若手棋士らが声をかけることも相乗効果としてあるとした。
「トップの女流棋士の場合、普通の研究会の相手として男性棋士が指名してもおかしくない。西山さん、福間香奈さんのツートップだけではなく、ほかの女流棋士も強くなっている。女流棋界のレベルアップのスピードもすごく進んだ印象がある」と分析する。昨年12月には伊藤沙恵女流四段が王位戦の予選を勝ち上がり、女流棋士初の王位戦挑戦者決定リーグ戦まであと1勝にまで迫っている。後に続く女流棋士がいるはずだ。
中井は一昨年6月に都内で行われた「女流棋士発足50周年パーティー」で、後輩に期待することとして「打倒藤井聡太」を掲げた。「女流棋士では今のところ、西山さんが一番近いところにいると思います」。
西山は名人戦への挑戦権を争う順位戦には属しない、フリークラスの四段からスタートする。もちろん、公式戦で規定の勝ち星、勝率を挙げるなどの活躍をすれば、A級以下、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組と5クラスある順位戦のC級2組に入れる。実際、瀬川晶司六段以下、今泉健司五段、折田祥吾五段、小山怜央四段といった編入試験合格組、伊藤真吾、古賀悠聖、佐々木大地、柵木幹太ら奨励会三段リーグで次点2回のフリークラスデビュー組も、C2への上がっている。
「男性ばかりの順位戦に女性の名前が載るのを見てみたいです」。中井だけでなく期待するファンは多いだろう。