将棋界で女性初の「棋士」が誕生する。西山朋佳白玲(清麗・女流名人・女流王将=31)が26日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で記者会見し、「棋士編入」の権利を行使することを明らかにした。
来年4月1日付でフリークラス四段として、公式戦に出場する。その一方で、タイトル防衛も含めた女流棋戦にも参加する。
将棋界における男女のレベル差は、「将棋を指す男女の人口の差」。女流棋士として1993年(平5)12月、第7期竜王戦のランキング6組予選で初めて男性棋士(池田修一六段=当時)を破った中井広恵女流六段はこう話した。女性棋士の公式戦参加は1981年(昭56)の新人戦以来で、初白星まで約13年。四、五段の男性棋士に38連敗してきた。
女流棋士第1号の蛸島彰子女流六段は、1974年(昭49)に女流初のタイトル戦として「女流名人戦」が創設された時代の状況についてよく言っていた。「当時、女性で将棋を指せる人なんて数えるほどでした。全国のどこにいて、どの程度の実力があるか分かりましたから」。
蛸島がプロ棋士養成機関「奨励会」に在籍していた61年から66年まで、女性の会員はたった1人。しかも、特例で入会していた。県内ではトップクラス、「末は名人」を目指してしのぎを削っていた多くの会員とのレベル差はいかんともし難かったという。現役会員3人も含め、のべ29人の女性が奨励会にいるが、三段にまで達したのも西山、福間香奈女流四冠、中七海の3人しかいない。
歴史の差もある。最古の伝統を誇る名人戦は、戦前の1937年に第1期が行われた。女流名人戦との差は37年もある。
同じ女流棋士がいる囲碁では杉内寿子九段(引退=99)が、42年にプロ棋士になっていた。すでに戦前から女流棋士が存在しており、同じ土俵で戦っていた。終戦からわずか7年後の52年には、初の女流タイトル戦となる「女流選手権」(のちの女流本因坊戦)も創設されている。
女流限定採用試験だけではなく、男女関係なく受験できる採用試験で87年の宮﨑志摩子五段(引退)、96年桑原陽子六段、99年加藤啓子六段、04年謝依旻七段と、合格者を出している。
タイトル戦でも2020年の広島アルミ杯・若鯉戦で藤沢里菜原女流本因坊が女流棋士として初めて優勝。上野愛咲美現女流名人戦はこのタイトル戦で連覇すると、23年には新人王戦も制した。今年の新人王戦3番勝負も柳原咲輝二段が後藤一二段に先勝し、27日の第2局に勝てば上野以来の新人王となる。将棋界ほどのレベル差はない。【赤塚辰浩】