福島市で11日に行われた「東日本大震災七回忌『祈りの日』」で、鎮魂の詩が刻まれた仏塔が建立された。大震災直後からツイッターで詩を発信し続けた和合亮一さん(48)の作品だ。死者が仏になるとされる三十三回忌まで和合さんの詩を刻んだ仏塔が建てられる。詩を通して福島の今を伝え続ける和合さんに7年目の思いを聞いた。

 和合さんは仏塔の除幕を終えると、会場の曹洞宗寺院・安洞院の本堂で全国から寄せられた「祈りの手紙」を朗読した。子どもたちからの手紙も17通。うち4通が避難者いじめに触れていた。「いじめなんて絶対にしないでほしい」「いじめないでください」。

 和合さん 心をすごく痛めていて、自分のことのように受け止めている子が多いんです。今回、改めて分かりました。

 昨年11月、福島から横浜に自主避難した男子生徒が「菌」を名前に付けられ、「賠償金があるだろう」と遊ぶ金を払わされていた問題が表面化して以降、群馬、新潟、千葉、埼玉、東京…各地で避難者いじめが明らかになった。

 和合さん 11年3月に千葉県で福島から避難した兄弟が公園で「放射能がうつる」といじめられる問題がありました(※注1)。6年たっているのに、そこから何も変わっていないということですよね。大人の考えや背中を子どもたちはじっと見ています。子どもたちは鏡として映し出しているのであって、これは大人の問題だと思っています。

 朝日新聞と福島大学の共同調査では62%が避難先でのいじめ、差別があったと答えている。この春、浪江町、飯舘村、富岡町、川俣町の4町村で避難指示が解除される。これで福島第1原発がある大熊町、双葉町の帰還困難区域を除き、事故前のように暮らせるようになる。しかし、これまで避難指示が解除された5市町村の帰還率は13・2%。今回、解除される4町村で帰る住民は7・8%と推定されている。帰還せず、避難を続けると、自主避難者になり、住宅支援はこの春で打ち切られる。「まだ避難しているのか」という空気が広がることも懸念されている。

 和合さん 飯舘村の人にインタビューしました。退職した年配の方々は自分たちはここで生まれ育ったから死ぬときも飯舘村だと帰ります。でもそう思う方々以外は難しい。「となりのトトロ」に出てくるどこまでも広がる田園風景のように、すごく美しい「までいの村」(※注2)だった飯舘村は今、フレコンバッグ(※注3)が並んでいます。フレコンバッグがあるところに子どもたちを戻したくない。復興、解除という言葉に現実が伴っていないジレンマが私たちを落ち込ませます。