日大などの学生で構成されるイベントサークル「TL」会長らが、脱会を申し出たメンバーから無理やり会費を取り立てたとして、警視庁麻布署は9日までに、恐喝の疑いでTLの会長ら3人を逮捕した。関係者の証言から、TLの恐るべき“集金サークル”の構造が明らかになった。

逮捕されたのは、TLの会長で自称広告代理店経営の村尾翼容疑者(25)と、日大4年で翼容疑者の弟、村尾光康容疑者(21)、阿世知信治容疑者(22)の3人。光康容疑者はナンバー3の副代表。阿世知容疑者は日大と別の大学(事件当時2年、現在除籍)で、3人いるナンバー5の副幹部。

3人の逮捕容疑は17年9月、東京・新宿のビル内にあるTL事務所で、脱会を申し出た大学2年の幹部補佐の男性(当時19)を「ノルマを支払うか、メンバーを2人勧誘しないと辞められない」などと脅し、借用書を書かせて35万3000円の支払いを約束させた疑い。いずれも容疑を否認している。

男性はその場を逃れるためサインしたが、その後、支払わずにいたところ、光康容疑者らが自宅や大学まで督促に来たため、最終的に大学を退学せざるを得なかったという。

関係者によると、TLは会長以下幹部22人と、メンバー約100人で構成。翼容疑者らはメンバーに、新規メンバーを月に2人または3人勧誘するノルマを課していた。さらに、メンバー1人ごとに、月に2万5000円から3万円程度の運営費の支払いを要求。勧誘のノルマを達せられないと、その人数分の運営費も支払わされたという。

TLの実態は複数の大学にまたがった“集金&合コンサークル”。定期的にクラブを貸し切ってDJを呼び、20~30歳の大学生を1000人ほど呼んでパーティーを行っていた。メンバーは、イベントの入場権4500~5000円を数人に売るノルマと、入場権とは別にパーティー券を1000円で売るノルマを課されたという。パーティー券を1000円以上で売ればメンバーの利益になるが、その結果、友人を失うなどしてノルマが厳しくなり、脱会を申し出るメンバーが後を絶たなかったという。

翼容疑者らは、入会の際に3カ月更新の入会契約書を書かせ、脱会の際に違約金を要求。警視庁には脱会を巡るトラブルの相談も多数寄せられている。TLの発足は14年で、警視庁では、事件までの3年で3億円を超える規模の集金があったとみている。捜査幹部は「何人もの人生を狂わせている」として、翼容疑者らの余罪についても調べている。

日大広報部では「本学のサークルではないので、公認もしておりませんし、活動実態も把握しておりません。学生の逮捕ということについては、対応は検討中です」としている。