会社法違反(特別背任)などで起訴された日産の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が23日、第1回の公判前整理手続きのため東京地裁に姿を現した。

ゴーン被告は午前9時半、車で東京地裁東口につけると、弘中惇一郎弁護士(73)と並んで弁護団の先頭に立って地裁に入った。灰色のスーツに白のシャツを着たゴーン被告は、表情を変えず、視線を真っすぐ前に向けて歩いた。

そのゴーン被告の入りを、東京地裁が完全ガードした。地裁の入り口から1階ロビー中央の階段の所まで白い間仕切りを複数、立てて、簡易の通路を作り、そこをゴーン被告と弁護団に歩かせた。間仕切りは高く、同被告の歩く姿は見えにくくなっていた。動向をチェックしようと周辺を走り回る報道陣をよそに、間仕切りの隙間から時折、垣間見えるゴーン被告は表情1つ変えず、階段に向かう扉の中に弁護団とともに入っていった。

地裁東口に車を着けてから階段に向かうまで、約2、3分で、消えるようにいなくなったゴーン被告ら弁護団の動きに翻弄(ほんろう)された報道陣の間からは「イリュージョン?」「引田天功?」との声や苦笑する声が漏れた。

弘中弁護士は20日、都内で取材に応じた中で、公判前整理手続きの場で、役員報酬を有価証券報告書に過少に記載したとして金融商品取引法(金商法)違反で起訴された事件で告発された、日産の西川広人社長(65)を東京地検特捜部が不起訴処分にした件について、検察側に説明を求める方向であることを明かしていた。【村上幸将】