令和初の国賓トランプ米大統領が26日午後5時、東京・両国国技館に到着した。観客の拍手を受け、手を振りながら着席した。

正面入り口には100人以上の警察官、警備員が入場者に対して厳重な手荷物検査を実施。スマホ、タブレットにカメラなど金属製品はすべてチェック対象となり、金属探知機のゲートも用意された。「空港の手荷物検査よりも厳しい感じで時間がかかった」と、都内在住の60代のご夫婦も猛暑の中で額の汗をぬぐった。

注目の観戦場所は正面升席前、砂かぶり席後ろの中央で土俵まで約5メートル。トランプ大統領夫妻、安倍首相夫妻用に4人分の肘掛け付きの大型ソファー席が用意され、黒い布で覆われていた。席の後ろには、日本相撲協会の説明者用とみられる席も設けられている。警備上、正面席すべてを一般客の立ち入りを禁止するのでは、との見方もあったが、「SP」の貼り紙がある大統領の席の周辺以外の席には一般客も入っている。

館内には大統領の護衛を務めるシークレットサービスが黒いスーツ姿で警戒を行った。また制服警官、私服警官らも館内外を行き交っていた。「午前中の館内はお客さんよりも警官や警備の数が多かった(笑い)」と、年3回の東京場所は必ず観戦する70代の男性ファンも苦笑いしていた。

最寄りのJR両国駅のコインロッカー、ゴミ箱はすべて使用が禁止され、炎天下の中でスーツケースを手に両国国技館周辺を行き交う旅行者が目立った。

館内では凶器となる可能性がある瓶ビールなどガラス容器や金属缶入りの飲料は、この日に限って、紙コップに切り替えられた。升席への案内、お弁当や飲み物、お土産などを運ぶ「出方」と呼ばれる係員も紙コップにつがれたビールが不安定なため、慣れない面持ちで慎重に運んでいた。【大上悟】