台風19号が東京都内に上陸した12日、台東区が自主避難所に避難した路上生活者(ホームレス)2人を区民ではないとして拒否していた問題で15日、同区が事実関係を認めた。

この日、国会で議論になり、共産党区議団も対応の誤りを認めて当事者に謝罪するよう服部征夫区長に申し入れ書を提出。同区長は夕方に謝罪コメントと検討組織の立ち上げを発表したものの、後手に回った感は否めない。

台東区によると12日午後、自主避難所の区立忍岡小学校を訪れた2人のホームレスに対し、職員が避難者カードに氏名と住所の記入を促したが「住所がないんです」と答えたため、利用対象者は区民との理由で断ったという。都心で歴代2位の最大瞬間風速41・5メートルの激しい風と雨が降った中での区の対応に「人の命をなんだと思っているんだ」などの批判が高まった。15日の参院予算委員会でも、国民民主党の森裕子氏が「受け入れ拒否はおかしい」と指摘し、安倍晋三首相が「各避難所では、避難した全ての被災者を適切に受け入れることが望ましい」と答えるなど議論に上った。

服部区長は「避難所での路上生活者の方に対する対応が不十分であり、避難できなかった方がおられたことにつきましては大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。避難所でホームレスを受け入れる想定がなく、全ての人を援助する方策を今後、検討するとした。

共産党区議団の秋間洋団長(61)は「人権侵害に当たる対応に対する謝罪はしていないし、そもそも対応の誤りを認めていない」と区長の謝罪を批判。21日の区議会決算特別委員会総括質問でも追及する構えだ。【村上幸将】