浜松市西区の私立認可保育園「メロディー保育園」の保育士17人、栄養士1人の合わせて18人が、園長らからパワハラ、セクハラ、マタハラなどを受けたとして弁護士を通じて一斉に退職届を出したことが13日、分かった。

保育士と栄養士は11日に保育園に退職届を提出するのと並行して、保護者にも経緯を説明するための文書を送付した。その中で、園長、専務からミスをした際に罵倒されたり、妊娠中の保育士が体調不良で欠勤していることに対して、会議で「つわりは病気じゃないから休むのはおかしい」と批判されたり、常に職員室から監視されているなどと指摘した。

その上で、8月に園長に改善されなければ退職する意思があることを含めて相談したところ、逆に嫌がらせを受けたと主張。「保育士として保護者の方が安心してお子さまを預けることができ、子どもたちが安全に過ごすことのできる環境を整える責任があります。しかし、それができないのが現状です」とし、12月28日をもって退職することを決断したという。

「メロディー保育園」の園長の女性は13日、取材に応じ、18人から11日に弁護士を通じて退職届が提出された事実を認めた。つわりで休んでいる保育士を批判するなどのハラスメント行為の有無については「つわりは重い人もいれば全然ない人もいる。そういう中の1つの例として、つわりは病気じゃないという話をした」と説明した。

その上で「体調が悪ければ無理して来なくても大丈夫、しっかり休んで元気に過ごして、とは話していた。『つわりは病気じゃない』という部分が、先生の頭に残ったのかも知れない」と説明した。

発言した当時も、マタハラなどと指摘されたというが「『マタハラって何のこと? 私、言ってないよね?』と聞いた職員もいる」と振り返った。

保育士を監視したと指摘された件については「配布物があったり(保護者から園児の)お休みの連絡が来れば、伝えるために保育室にも行く。それが嫌だったということかも」などと主張した。

園長によると、退職届を提出した18人は、現在も園で働いているという。ただ18人の弁護士からは、通常業務に関する会話は認められているが、退職届に関する一連の会話は控えるよう言われているという。

保育士はパートも含めて32人働いているという。浜松市の基準では、メロディー保育園の規模の認可保育園には、常勤の保育士が17人いなければいけない。現在は市の基準にのっとった常勤の職員は25人いるが、退職届を出した17人が退職した場合、残りは8人となり9人足りないことになる。浜松市幼児教育保護課からは、16日までに対応策を報告することと、保護者説明会の開催を要請されている。

保育士が退職届通りに28日に退職した場合、補充が出来なければ園の認可が取り消される可能性もあるという。

園長は「私の立場はどうなっても、どう思われてもいい。ただ、子どもたちを預ける場を確保するには、先生に残ってもらうことが1番。その方向で一生懸命、対応している」と語った。【村上幸将】