第162回芥川賞・直木賞の選考会が15日、都内で行われ、「落日」で直木賞にノミネートされていた人気作家・湊かなえさん(46)が受賞を逃した。

湊さんが候補となるのは4回目。他の4作品は初のノミネートだっただけに、「湊シフト」という言葉も生まれ、最有力視されていたが、またしても届かなかった。

選考委員の浅田次郎氏は「川越宗一さんの『熱源』、小川哲さんの『嘘と正典』、誉田哲也さんの『背中の蜘蛛』の3作を残すか、そこに湊さんを加えるかで議論になった。湊さんは数多く作品を書き、ストーリーテリングに一日の長があるのは歴然としている。ただ、それほど強く推す声がなく残念だった」と経過を語り、上位3作に残らなかったことを明かした。

その上で「湊さんは4回目の候補。何回も候補になると、どうしてもタテの評価が生まれる。前の作品の方がいいのに、これで(直木賞を)あげるのかとか、前作と比較してしまう。(ノミネートの)数を重ねるのは不利です」と話した。

対照的に初ノミネートで直木賞を受賞した「熱源」は川越さんの2作目だった。2007年に「告白」でデビューし、本屋大賞を受賞して以降、出る作品出る作品が書店で平積みされ、「ユートピア」で山本周五郎賞、「贖罪」でエドガー賞候補。人気も実力も不動にしている湊さんだが、直木賞への道は回数を重ねるごとに険しくなっているようだ。