新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を防ぐため、東京都や首都圏などの各県、大阪府が不要不急の外出自粛を求めた週末2日目となった29日、各地では花見の「自粛」も相次いだ。東大阪市は、市が管理する公園などでの飲食を伴う花見を禁止。東京都などの「自粛」ではなく、強い表現の「禁止令」に“トラブル”も発生。都内でも桜の名所・目黒川に雪の中の桜を楽しもうと訪れる客の姿が見られた。

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大阪府東大阪市の花園ラグビー場に隣接する花園中央公園。ソメイヨシノなどのお花見スポットとしても有名だ。東大阪市は27日、市が管理する公園のうち、桜のある花園中央公園や遊歩道で、シートを敷いたり、携帯椅子を使ったりしての宴会など、飲食を伴う花見の禁止を決定。週末28日は大阪府内は雨が降っていたため、この日が「禁止令」の事実上の初日となった。

午前中から警備員が同公園内を見回りし、シートを敷いているグループに自粛を呼び掛けた。注意された男性が「なんでアカンのや!」と詰め寄るシーンも。言葉だけではなく、「禁止」の貼り紙を見せて説明すると、「シートを敷く前に言えよ!」と怒声を浴びせ、立ち去った。この日は夕方まで、花見を巡り、小競り合いが続いた。

東京都など各地で相次ぐ「自粛」ではなく「禁止」という強い表現を使っているが、飲食を伴うお花見の「禁止」は、条例に基づくものではなく、強制力はない。関係者によると、罰則はなく、あくまでも「お願い」して、協力を求める形だという。

市民が散歩しながらのお花見はOK。小学生の長女とお花見の下見に来ていた東大阪市の30代の主婦は、貼り紙を見て「エッ!」と絶句。「毎年、この公園で食べ物を持ち寄って娘の友達らとお花見をしているのに…。この禁止の貼り紙を見て、お花見をする勇気はない」と戸惑った。

マスクをつけ、歩きながらサクラを眺めていた地元の男性(63)は「意図は理解できるけど、禁止という言葉はどうかな」と首をかしげた。男子大学生(21)は「いっそのこと公園でのお花見を全面禁止するほうがすっきりするかも」。家族と訪れた男性会社員(34)「花見よりも暮らしはどうなってしまうのか……」と不安そうにつぶやいた。【松浦隆司】

◆桜の開花 気象庁は東京で14日、ソメイヨシノが1953年の観測以来、最も早く開花したことを発表し、22日に満開を発表した。関東や北陸も27日までに例年より早く開花した。29日には、仙台市と福島市でソメイヨシノが開花したことが発表された。東北では盛岡4月17日、山形4月12日、秋田4月14日、青森4月22日の開花を予想しているが、早まる可能性もある。