大阪府の吉村洋文知事の会見を受け、新型コロナウイルスの感染対策として注目を集めているイソジンなどのうがい薬について、東京都結核予防会理事長の桜山豊夫氏(68)が感染予防の専門家として提言を行った。

殺菌効果のあるうがい薬の効能について「口腔(こうくう)内のウイルスを減らす効果は期待できる。歯科医では患者さんにイソジンなどでうがいをしてもらった後に治療にあたるところが多い。飛沫(ひまつ)による人から人への感染リスクを減らす可能性はある」とした。その上で「ポビドンヨード配合のうがい薬は殺菌力が強い。過度に使用すれば正常な粘膜を痛め、ウイルス感染を招いてしまうことも」と警鐘を鳴らした。

うがい薬で軽症、無症状の患者の陽性率が下がったという大阪府の発表に関しては、冷静な判断を呼びかけた。「対象患者が約40人と少ないことよりも、検証が短期間であることが懸念材料。コロナ対策に、いいと思われることに取り組むのは非常に良いが、現時点で過大な期待を寄せるのは注意が必要」とした。

唾液によるPCR検査の直前に、イソジンなどでうがいをして「陽性逃れ」に悪用する可能性がないかについては「ウイルスを減らし、不活性化させる一時的な効果を得る可能性はあるが、PCR検査の精度は高いので陰性となるかは分からない」とした。【大上悟】