時短営業を続けていたセブン-イレブン東大阪南上小阪店(大阪府東大阪市)のフランチャイズ契約解除は無効として、元オーナー松本実敏さん(58)がセブン-イレブン・ジャパンを相手取り、オーナーとしての地位確認や取引再開などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、大阪地裁(金地香枝裁判長)で開かれた。セブン本部側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。セブンVS「物言う元オーナー」の法廷闘争が始まった。

法廷で松本さんは裁判長を真っすぐ見つめ、意見陳述した。「私がなぜ、時短営業に踏み切らざるを得なかったのか。それに対してセブン-イレブン側がいかに理不尽な対応をとったのか、コンビニオーナーが置かれた過酷な状況について、これから事実を偽ることなく述べます。どうか公正な判断をくださるようにお願い申し上げます」と訴えた。

松本さんは人手不足を理由に、19年2月から本部の許可を得ず、自主的に時短営業をスタート。コンビニの24時間営業問題の議論のきっかけをつくり、コンビニ業界の急成長を支えた「年中無休、24時間営業」に一石を投じた。

意見陳述では、妻をガンで亡くした後、アルバイトを募集したが、ほとんど応募がなく、人手不足で独自の時短営業を始めた経緯について説明。「過労死すると思い、時短営業に踏み切った。妻と一緒に苦労して築いた店を取り戻し、全国のオーナーたちの声なき声を代弁して本部と対等に交渉することを目指す」と話した。

全国のオーナーと家族が本部から24時間365日営業を強いられ命の危険にさらされていると訴え「命より大切な(本部との)契約書はない」と強調した。

一方、顧客からのクレームの多さを理由に契約解除したセブン本部側の代理人弁護士は「これ以上、事実に反する被告(元オーナー)の虚言等が公然と拡散することにより、原告の企業価値が毀損(きそん)されることを抑止しなければならなくなった」として原告の立場としては異例の法廷での意見陳述。「(元オーナーの)暴言や暴力などの異常な顧客対応がやまず、契約を解除した」と主張した。

異常な顧客対応としての「証拠」として19年10月中旬に東大阪南上小阪店の駐車場で松本さんが顧客の顔面に3回連続して頭付きしたとする動画などをすでに提出したことを明かし、「異常な顧客対応は客観的に証明されている」と主張した。

第1回口頭弁論後、大阪市内で記者会見した松本さんは「言うことを聞かない者は排除し、つぶしていくのが大企業のやり方。負けないように裁判を闘っていく」と意気込みを語った。

松本さんの代理人弁護士は提出された証拠とされる動画について「反論は法廷で行う。ここで場外乱闘するつもりはない。真実は1つです」。

セブンの親会社セブン&アイ・ホールディングスの広報は「当社の主張は、本日、代理人弁護士が陳述した通りです。今後も引き続き、本件訴訟の争点である契約解除の有効性について、裁判の中で主張・立証し、本件店舗の引き渡しを求めていきます」とコメントした。