一般社団法人・日本水商売協会が、新型コロナウイルスの感染拡大で苦境が続く業界の活性化を目指し、全国のクラブ、キャバクラ・ガールズバー、ラウンジ、スナックのママや女性キャストの“ミスコン”を開催する。「第1回NIGHT QUEEN グランプリ」と題し、来年3月8日に開催。今日1日からエントリー募集を開始する。

コロナ禍で3月末から営業の自粛を余儀なくされた水商売業界は、業界独自のガイドラインを作成するなどして感染拡大防止に取り組んできた。ただ、さまざまな業界で感染予防対策のため会食や2次会を控える動きが進んでおり、水商売離れが進んでいる。また、政府による「Go To イート」で飲食業は支援を受けている一方、接待飲食業は対象から除外されており、ますます苦しい立場に追い込まれている。

業界の就業人口は約100万人といわれているが、コロナ禍で3割程度の店が閉店、廃業に追い込まれたという。日本水商売協会らの働き掛けもあり、それまで支援対象とされてこなかった日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の指定業種が拡充され、接待飲食業でも融資を受けられるようになった。それでも、全体的には赤字で「営業を続けるうち、7割以上の店は融資を受けられても借金でなんとか食いつないでいる状況」(関係者)という。

そうした苦境の中、業界内に明るい話題を提供するとともに、働きがいを確立し、仕事の質を上げるために企画されたのが「第1回NIGHT QUEEN グランプリ」だ。ドラマ化もされた漫画「女帝」、「嬢王」、「夜王」の原作者・倉科遼氏が審査員を務める。優勝者は、同協会の広告塔として協賛企業商品のPRを担当したり、各種メディアに業界の代表として露出したり、協賛企業からの商品サービス無償提供を受ける権利が与えられる。歌唱賞受賞者には歌手デビュー権が与えられ、CDデビューやテレビやラジオへの出演権も与えられる。

日本水商売協会の甲賀香織代表理事は、業界が置かれている現状について「お客様は離れ、会社では接待が禁止され、会食は1次会で終えなくてはいけないムードです。我々は2次会、3次会で使われる形態のお店ですので(『Go To イート』による)恩恵はほとんど受けていません」と説明。その上で、政府や東京都が“夜の街”という言葉で、水商売業界を新型コロナウイルスの感染拡大の“元凶”であるかのように指摘し続けたことを引き合いに「差別的な意味合いの造語“夜の街”を逆手に取り、自分たちの置かれてきた実情と、それでもこの仕事に懸ける熱い思いを業界の内外に向けて発信する場にします」と訴えた。

またイベントには、感染症の正しい知識を啓発する意図もあるという。甲賀代表理事は「出来る感染症対策を全てやっているお店が多いわけですが、そもそも実態調査が不十分なために、国からは曖昧な注意喚起にとどまり、何をどこまですれば良いかの情報が交錯し、店舗によって違う対応をしている現状です」と国の対応に疑問を呈した。その上で「これ以上、行政の対応をやきもきしながら待っていることはできません。我々に出来ることをやっていくしかないと考えます」と、イベントの意義を強調した。

「NIGHT QUEEN グランプリ」は今回を第1回目とし、毎年開催をしていく予定だ。