新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染急拡大を受けて、政府は19日、1都12県へのまん延防止等重点措置の追加適用を決定した。

対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏を含む、群馬、新潟、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の9県。期間は21日から2月13日までの約3週間。すでに9日から31日まで適用中の広島、山口、沖縄と合わせ、計16都県に拡大した。さらに福島県と島根県も重点措置の適用を要請する方針。京都、大阪、兵庫の3府県は、要請する場合は連携して行う方針。

岸田文雄首相は対策本部会合の冒頭で「知事の判断による酒類提供停止などの対策強化を講じる」などと、強調したが、感染拡大は過去にないハイペースだ。この日、感染者は東京都では新規感染者が過去最多の7377人に上り、これまで最多だった昨年8月13日の5908人を一気に約1500人も上回った。1月1日の79人から3週間たたずに7000人を突破。全国でも初めて4万人超えを記録した。

ワクチンの2回接種か、陰性証明で行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」について首相は「当面、一時的に停止することを原則」とした。だが、日本医師会の中川俊男会長は緩和策について「これまでの運用はデルタ株を想定していたものであり、オミクロン株の治験に合わせた見直しをすべき。例えば、ワクチンの2回接種を3回接種に見直すべき」と警鐘を鳴らした。

この日の衆院代表質問で立憲民主党の泉健太代表は「まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の発令要件もオミクロン以前の感染力を想定している」と対策の変更を促した。だが、首相は「専門家の意見を踏まえ、医療体制のひっ迫度に重点を置いたレベル分類を踏まえた総合的判断という考え方は変更はしない」と断言した。泉氏は「(さまざまな質問に)相手がつかみどころのない、タコのような逃れ方をしても、我々は事実を大事に1つ1つ政府の足りない点を明らかにしていく」と首相を批判した。【大上悟】