新潟県村上市にある米菓製造大手「三幸製菓」の荒川工場で出火し5人が亡くなった火災で、県警と消防は13日、全焼した建物を実況見分した。安否不明となっている20代男性従業員を捜索し出火原因を調べる。

市の消防署防災安全室によると、荒川工場では88年から19年までに計8件の火災が発生していた。8件中7件が、煎餅を乾燥させる機械の中で、煎餅のくずがガスバーナーの熱により炭化して発火したもの。燃えたものは煎餅の乾燥器や電気配線などで建物自体に被害はなかった。残る1件は94年6月。菓子のくずが米菓を揚げる装置に付着しガスバーナーで熱せられ発火。油釜内の油に引火して燃え広がり、「フライヤー室」29・4平方メートルが全焼した。過去8件の火災では人的被害はなかった。

村上市の消防本部は3年に一度、荒川工場に防火のための立ち入り調査を行っている。直近では20年9月に実施。調査では、自動火災報知機や避難誘導灯の作動不良、消火器の設置場所不良、屋外消火栓設備のホースの耐圧性能切れなど、多数の不備があったが、改修されたとの報告を受けたという。また、消防署防災安全室によると、荒川工場は消防法上、スプリンクラーの設置義務がなく、実際に設置されていなかったという。