ウクライナのキスリツァ国連大使は2月28日、国連総会緊急特別会合での演説で、戦死したロシア兵が死の直前に母親と交わしたとするメッセージを読み上げ、侵攻の理不尽さと戦闘の惨状を訴えた。メッセージは兵士のスマートフォンに残されていたといい、以下のような内容だったという。母親「どうして返事をくれないの。本当に訓練なの」 兵士「ママ、もうクリミアにはいない。訓練じゃない」「僕はウクライナにいる。本当の戦争が起きている。怖いよ。一般市民も標的にしている。彼らは歓迎してくれると聞いていたのに。彼らは装甲車の下に身を投げ出して、僕らを通さないようにする。僕らをファシストと呼んでいる。ママ、とてもつらいよ」。

兵士は直後に死亡したというが、経緯は不明。大使は「亡くなった人が隣にいると想像してほしい」と訴えた。ロシアのネベンジャ国連大使はメッセージは「虚偽だ」と反発した。

ウクライナ当局はソーシャルメディアでも捕虜となったロシア兵らの映像を発信。ロシア軍の士気を低下させたり、ロシア国内の厭戦(えんせん)気分を高めたりする情報戦の側面もありそうだ。公開した映像の1つでは、迷彩服を着て後ろ手に縛られたような体勢の5人の兵士が質問に答え「訓練だと聞かされていたが、前線に送り込まれた」「だまされて、見捨てられた」と話した。兵士が「国境に整列させられ、夜間に突然越境した。拒否したら反逆罪に問われていただろう」と話す映像もある。ウクライナ軍幹部はロシア兵捕虜について「19歳の若者もいる。全く訓練を受けておらず、装備もひどいものだ」と明らかにしていた。