安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃されて死亡した事件は8日で発生から1カ月となった。殺人容疑で送検された無職山上徹也容疑者(41=鑑定留置中)が事件前まで山上容疑者が派遣社員として勤務していた京都府内の工場の責任者も取材に応じ、新たな人物像を明かした。

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京都府内の工場の責任者は、この1カ月で社員らの新たな証言から浮かび上がった山上徹也容疑者(41)の人物像について「現場の同僚らには上から目線で、かなりプライドが高かったようだ」と話した。

山上容疑者は20年10月からは派遣社員として工場に勤務。フォークリフトの免許を持ち、荷物の搬入作業に従事していた。事件前の5月中旬まで1年7カ月勤務した。事件後、山上容疑者と仕事で接することが多かった社員が奈良県警の任意の事情聴取を受け、新たな言動がわかった。

今年1月、山上容疑者はトラックへ荷物を積み込む際、「このやり方でも崩れない」と緩衝材を挟む作業を勝手に省いた。女性ドライバーは「荷物を傷めるので、緩衝材はいる」と抗議したが、譲らず、激しい口論に。最後はドライバーに「何を言うてんねん、おばはん!」と語気を荒らげたという。

荷積み作業では、積み込む前に荷物を確認し、積み込んだ後も数え直す。「子どもではあるまいしかもしれないが、危険回避のための手順です」と責任者。今年3月、50代の同僚の男性社員が積み込み後、再確認しない山上容疑者に「ちゃんと数えてや」と指摘すると、「積み込む前にオレが数えたのが、信じられないのか」と抗議。「決まりやからな」と返すと、「ほな。おまえがやれや!」と口論になった。

「管理する内勤の人に対しては、おとなしく、同じ現場の人にはけっこう当たりが強く、上から目線だったようです」。山上容疑者は奈良県内で有数の進学校として知られる県立高校を卒業したが、母親による巨額の献金で生活苦に陥り、大学進学を諦めた。責任者はこの1カ月で新たに分かった言動から「かなりプライドが高かったようだ」と話した。