W杯カタール大会で16強進出に貢献したMF三笘薫(25=ブライトン)の名アシストに「みとま」駅も酔いしれた。福岡市東区の三苫(みとま)地区とその周辺でも、多くの住民や関係者が三笘の活躍を大喜び。いわば“準・聖地”だ。

「三笘」と「三苫」。よく似た漢字を使い、読みも同じだ。同地区は「三苫イチゴ」の産地としても知られている。1970年代には宅地開発も進み、ベッドタウンとしての顔もある。

九州の大手私鉄、西鉄貝塚線の三苫駅は福岡市中心部への通勤客が多く利用。同鉄道の広報課は「三苫駅を擁する西鉄は、三笘選手を応援しています。小さな駅ですが、いつか三笘選手にもいらしていただきたいものです」とエールを送った。また同駅駅員の浦橋宗徳さん(32)も「漢字は違いますが、ぜひ三苫の名前を上げてほしい」と興奮気味に語った。

貝塚線はかつて、福岡市内の貝塚から福津市の津屋崎駅までを結ぶ「宮地岳線」であった。松本清張の名作推理小説『点と線』の舞台としても知られる。07年に一部区間が廃止され、現在の終点は津屋崎駅から新宮駅へと移った。

15年のラグビーW杯開催中は南アフリカ戦大金星に貢献した日本代表FB五郎丸歩にあやかり、西鉄甘木線の「五郎丸駅」がツイッターなどで話題になった。

昭和時代に西鉄はライオンズ(現西武)を擁し黄金時代を築いた。1956(昭31)年からパ・リーグ3連覇。日本シリーズでは巨人を3年連続で倒し、球史に巨大な足跡を刻んでいる。西鉄が再び、思わぬ形で全国から注目されそうだ。

また、福岡市立三苫小学校の後藤芳孝校長(56)は最後まで諦めずボールを追いかけた三笘の姿勢を称賛した。「インタビューの様子を見ていても、浮かれたところが全くありません。子供たちには、あそこへ至る過程の大切さを見習ってほしい」と語った。三苫駅前の学習塾「個別指導W a m」の片山孝之教育アドバイザー(54)も「塾生には、ゴールラインを割らずに粘った姿勢を見習ってほしい」と期待を込めた。【高野勲】