将棋の最年少5冠、藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)が羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第3局が28日、金沢市の「金沢東急ホテル」で始まり、午後6時過ぎ、後手の羽生が50手目を封じて1日目を終えた。持ち時間各8時間のうち消費時間は藤井が3時間59分、羽生が3時間40分。形勢はほぼ互角とみられる。

第1局を藤井、第2局を羽生が制し、1勝1敗のタイで迎えた「金沢決戦」。後手の羽生が雁木(がんぎ)に組み、藤井が速攻を仕掛ける展開になった。30手目、羽生が「いやいやいや~」とつぶやき、44分の長考で決断の一手を指す。藤井も昼食休憩を挟み、約1時間24分の長考に沈んだ。 羽生が採用した「雁木」は江戸時代に編み出された戦型。玉の守りが薄いことなどから、長い間、指されなかったが、人工知能(AI)の将棋ソフトの研究が全盛となり、17年ごろからトップ棋士の間で流行した。かつて廃れたと言われた戦型から新しい可能性を探そうとしているのか。羽生の「温故知新」に藤井は「新手」を繰り出し、応酬した。1日目から中盤の勝負どころを迎え、激しい攻防が繰り広げられた。

初防衛、5冠堅持を目指す藤井がリードを奪うのか。前人未到のタイトル獲得通算100期を狙う羽生が連勝するのか。32歳差の「夢の対決」。2日目は29日午前9時に再開する。【松浦隆司】