岸田文雄首相は31日の衆院予算委員会で、旧民主党政権の肝いり政策だった所得制限なしの「子ども手当」について、当時野党だった自民党から「愚か者めが!」などの激しいヤジが飛んだことについて感想を問われ、「議論の際の態度や発言において節度を超えていたのではないかという指摘は謙虚に受け止め、反省すべきものは反省しなくてはならない」と述べ、反省の意を示した。

立憲民主党の長妻昭政調会長の質問に答えた。

「愚か者めが!」のヤジを飛ばしたのは、自民党の丸川珠代参院議員(52)。

長妻氏は、丸川氏の「愚か者めが。このくだらん選択をしたばか者どもを絶対に許しません」という内容だったヤジを紹介しながら、「罵詈(ばり)雑言をかけられた」と指摘。岸田首相に反省を求めた。首相は「節度あるものだったかどうかは、あらためて振り返らないといけない」とも語った。

丸川氏は、鳩山由紀夫政権当時の2010年3月、参院厚労委員会で子ども手当の法案が強行採決された際に、「愚か者めが!」のフレーズを叫んだ。参院本会議では、当時首相の鳩山氏を「ルーピー(愚か、などの意味)」とやじったこともあった。やじの内容は激しいものが多く、当時よくニュースになった。10年以上の時間を経て、今回、あらためて焦点が当たる格好になった。

丸川氏は元テレビ朝日アナウンサー。2007年参院選で初当選し、ヤジを飛ばしていた当時は1年生議員。その後、第2次安倍政権や菅政権で五輪相などを務め、現在当選3回。

自民党では、茂木敏充幹事長が1月25日の衆院代表質問で、児童手当の所得制限撤廃に言及。これまでの方針を転換させたことで、野党から批判が出ている。茂木氏は30日の党会合で「過去にとらわれず、未来志向で必要なことはやっていく」と述べ、理解を求めた。