長野県中野市江部で女性1人と警察官2人が猟銃を持った男に襲われて死亡した事件で、長野県警は26日4時30分すぎ、青木正道・中野市議会議長の自宅に立てこもっていた男を確保した。身柄を確保された男は、議長の息子とみられる。現場の近くで倒れていたけが人は高齢女性で、死亡が確認され、死者は4人目となった。

25日午後4時25分ごろ、「女性が刺された」と110番通報があり、駆けつけた警察官2人が猟銃で撃たれた。一部の目撃情報によると、男は路上で激しく女性を追いかけ回していた。女性の背後に近づき、ナイフを刺したという。その後、現場にパトカーが到着すると、車に近づき運転席に向かって猟銃を撃ち込んだという。その後、女性と警察官2人は病院に搬送されたが、3人とも死亡した。

同午後8時35分ごろには、立てこもっていた家から男の母親が脱出。その3時間半後には、もう1人の女性が逃げだし、県警に保護されている。

事件現場から道路を挟んで約100メートル離れた事業所に勤める男性(57)は午後5時ごろの地域の防災無線で事件を知った。「発砲事件が発生しました。しっかり戸締まりをして外に出ないようにしてください」と放送が流れた。しばらくしてから赤色灯を回した警察車両が男性の事業所前に止まり、警察官から「事件発生のため車両を駐車させてください」と語りかけられ応じたという。警察車両はパトカーと一般車両も含めて6台。その際に畑から歩いてきた男性から「午後4時半ごろ男が女性を刃物で刺して、さらに発砲したのを目撃した」と聞いたという。事業所の男性は建物の中にいたため「銃声は聞こえなかった。とても恐ろしい」と話した。

市では近隣住民の安全を確保するため、中学校体育館に避難所を開設した。25日午後10時の時点で約60人が避難した。

事件現場は長野電鉄信州中野駅から南西に約1・5キロ離れた畑に囲まれた住宅地。