営業停止の佐野SA、交渉ないまま社長会見に不信感

14日、営業休止中の佐野SAフードコート

東北道・佐野サービスエリア(SA)上り線のフードコートと売店を運営する、栃木県佐野市のケイセイ・フーズの従業員がストライキを起こし、営業が14日未明から一斉にストップしている問題は、翌15日も従業員のストが終わらないまま、1日を終えた。

関係者によると、ストは、同社の親会社の建設会社に関する信用不安情報が、フードコートと売店に商品を卸す取引先業者に露見し、7月25日前後から商品が納入されなくなったことに端を発した。そのことを受け、一部の管理職員が商品の代金を前倒しで支払う旨の覚書を作成して事態の収拾を図り、商品は再び納入され始めたが、覚書にサインした社長が、内容の変更を求めて反発。その過程で、資金繰りが厳しいことが明らかになり、そのことを糾弾した同職員が解雇されたことで、ストに発展したという。

この日、ケイセイ・フーズ岸敏夫社長は、一部の取材に応じ「仕入れ業者との注文の食い違い、社員の不当解雇があってストライキになった。既に昨日の段階で解雇は撤回した」などと説明し、管理職員の解雇処分を撤回したと明言した。

一方、解雇された管理職員は、日刊スポーツの取材に、前日14日夜11時40分の段階で会社側から解雇を撤回する旨のメールがきたことは認めた。だが、同じメールに「営業再開に向けた業務委託契約の話がしたい」と書かれていたため、その具体的な内容について知りたいと返信したものの、会社側から返答がなかったとしている。

また従業員側は、話し合いがないまま、岸社長が一部メディアの取材に「(社員は)不平不満もなく(営業)再開に向け打ち合わせが進んでいる」と答えたと知り、驚きを隠せなかったという。

お盆のUターンラッシュが本格化する時期にSAが営業できないという事態に、ケイセイ・フーズとテナント契約を結ぶNEXCO東日本の子会社、ネクセリア東日本の関係者は15日、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝罪した。同社では、上りSAに職員を派遣して15日朝からカレーとおにぎりの販売を始めるとともに、利用客に対し、徒歩での下りSAへの移動ルート案内などの対応を取った。同関係者は「(SAが)上下つながっているのは不幸中の幸いだった」と話した。