車いす谷垣氏がパラ大会に期待、都の懇談会初出席

東京都のバリアフリー推進懇談会後、記念撮影に臨む谷垣禎一名誉顧問(左)と小池百合子都知事(中央)、パワーリフティングの三浦浩

20年東京パラリンピックの成功とバリアフリー推進を目指し、東京都が設置した懇談会の第2回会合が21日、海の森水上競技場(東京都江東区)で行われ、名誉顧問に就任した自民党の谷垣禎一元総裁が初めて出席した。16年7月に自転車の転倒事故で頸髄(けいずい)を損傷、車いすで活動する谷垣氏は「喪失感や孤立感を感じていたが、多くのアイデアに勇気づけられた」と話し、大会成功に期待を示した。パラ大会のチケットは22日、第1次抽選販売がスタートする。

   ◇   ◇   ◇

谷垣氏はこの日、名誉顧問として初めて懇談会に出席。電動車いすで席に着き「東京パラリンピックを、どうしても成功させたい」と、あいさつした。

16年7月、趣味のサイクリング中に転倒し、頸髄(けいずい)を損傷。前回の衆院選に出馬せず国会議員は引退したが、ステージを変えて活動を再開した。谷垣氏は「障がいを持っていても、身体を動かすことへの楽しみがある。少しでも身体を動かすと楽しいという環境をつくるなど、いろんな雰囲気が盛り上がってくることが成功にもつながる。微力ながら、お手伝いしたい」と話した。

この日の会合は、今後SNSで発信する懇談会のキャッチフレーズについて議論が白熱。新たにメンバーに加わった俳優風間俊介が、30近い案から「みんな違って、みんな同じ」を推して賛同が広がると、谷垣氏やフリーアナウンサー大橋未歩が「不自由は無限の自由だ」を推した。タレント萩本欽一は、小池氏が「(皆さんに配った)名刺を、どうぞばんばん使ってください」と話したことに発想を得て「どうぞ、ばんばん」を提案。今後、複数案を軸に検討されることになった。ほかにも、子ども連れで競技を楽しめる環境整備の必要性など、さまざまな思いが寄せられた。

谷垣氏は「今までやってきたことができないとか、喪失感や孤立感を感じてきたが、いろんなアイデアをいただいて心強い。勇気づけられた」と話した。会合後は観客席の車いすエリアを見学。電動車いす用の電源もしつらえられており「いろいろ工夫していただいている」と、評価した。

自民党時代、谷垣氏とともに活動した小池百合子知事は「パラリンピックを契機に、都のバリアフリーを徹底したい」と決意を示し、「あっという間にチケットが売り切れ、会場が満員になる盛り上がりで成功を目指したい」と述べ、国民の関心の高まりへの期待も示した。【中山知子】