「ハマのドン」藤木氏、カジノ誘致に徹底抗戦を表明

「ここは我々の聖地。命を懸けて反対する」と会見した藤木幸夫横浜港運協会会長

横浜市の林文子市長(73)がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を表明したことを受け、「ハマのドン」こと藤木幸夫横浜港運協会会長(89)が23日、「山下ふ頭は我々の聖地。命を懸けて反対する」と緊急会見した。

藤木会長は「顔に泥を塗られた」と林市長に不快感を示しながらも、「泥を塗らせた人がいることははっきり分かっている」と、市長の背後にいる“敵”と戦うことを明言した。

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カジノのない「横浜港ハーバーリゾート構想」を林市長に提案していた藤木会長は「林さんには顔に泥を塗られた。泥を塗ったのは林さんだけど、塗らせた人がいることははっきり分かっている」と語った。

林市長の背後で操る力を「ハードパワー」と表現した藤木会長は、「ハードパワーとは横浜選出で陰の市長ともいわれる菅義偉官房長官のことか」と尋ねられると、「そう思うのはあんたの自由だが、菅さんは安倍さんの腰巾着。安倍さんは米国の腰巾着。安倍さんも菅さんもトランプさんの鼻息をうかがって寂しいな」と答えた。

トランプ大統領への大口献金者が会長を務めるカジノ運営大手「ラスベガス・サンズ」と、それに忖度(そんたく)する空気がハードパワーであることを示したとみられる。ラスベガス・サンズは大阪から撤退し、東京と横浜でのIR開発に注力することを明らかにしている。

横浜市は、山下公園に隣接する山下ふ頭にIRを誘致する方針だ。山下ふ頭には藤木会長率いる港湾事業者の倉庫が立ち並ぶが、土地の98%は市と国が所有している。市が2022年度までの立ち退きを求めていることに藤木会長は「ここは俺たちの聖地だよ。立ち退くなら役所が立ち退け」と言い捨て、仮に強制執行されても「黒沢明監督の映画『蜘蛛巣城』のまねをして、ここで寝泊まりする」と体を張って抗戦するプランまで明かした。

「藤木がやることは、山下ふ頭を守ることだ、山下ふ頭をばくち場にしないことだ」。藤木会長らはこの夏、山下ふ頭をEXILEが所属するLDHの音楽フェスに開放した。1万人が集まったという。「実にいい観衆でね。そういう場所としてここを使いたいね」と話した。【中嶋文明】

◆藤木幸夫(ふじき・ゆきお)1930年(昭5)8月18日生まれ。横浜港を中心に港運、荷役、倉庫などを営む藤木企業の会長。横浜エフエム、横浜スタジアムの会長も務めている。二階俊博自民党幹事長ら政界とのパイプも太く「ハマのドン」として知られる。