佐野SAスト終了し通常営業を再開、従業員は一礼

通常営業を再開した佐野サービスエリア上り線レストランであいさつする、加藤正樹氏(右から2人目)らケイセイ・フーズの従業員(撮影・村上幸将)

8月に運営会社の従業員のストライキが発生して営業がストップした、東北道・佐野サービスエリア(SA=栃木県佐野市)上り線のフードコートと売店が24日午前、通常営業を再開した。

運営会社「ケイセイ・フーズ」のストを起こした労働組合の従業員が、フードコートや売店の飾りを秋のものに変え、レストランでは通常営業再開予定より20分ほど早い、午前10時40分から名物「佐野ラーメン」を提供した。同11時、正式に通常営業を再開した。

前総務部長の加藤正樹氏は午前11時に「本日ストライキ状態から我々従業員は復帰しました。今後、今までよりもレベルアップした一同、全力で頑張りますので、皆さんよろしくお願いします」とあいさつ。「24時間営業なので、研修とかできなかったんですが、この機会に勉強したりした。社員の気持ちとスキルは、思い切り上がっていると思います」と胸を張った。

佐野SAの一連の問題は、スト発生前日の8月13日午後、同社の親会社の建設会社に関する信用不安情報が、フードコートと売店に商品を卸す取引先業者に露見し、7月25日前後から商品が納入されなくなったことに端を発した。

スト発生から39日後の22日午前6時に、労働組合側は会社側がスト後に立てた代理業者や代替要員から22日午前6時に職場を明け渡され、社員64人が職場に復帰し、引き継ぎ業務や清掃と並行して一部の業務を行ってきた。

ストは、商品が納入されなくなったことを受けて、加藤氏が商品の代金を前倒しで支払う旨の覚書を作成し事態を収拾し、商品は再び納入され始めたが、覚書にサインした岸敏夫社長が内容の変更を求め、反発。その中で、資金繰りが厳しいことが明らかになり、この問題を糾弾した加藤氏が解雇されたことで、ストに発展した。

レストランに復帰した女性従業員は「ありがたいこと。うれしいです。ストは長く感じました。戻れるかどうかは正直、半々だと思っていました」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

複数の関係者によると、ストが長期化したことなどを受けて、岸敏夫社長は退任するという。【村上幸将】