結愛ちゃん父が起訴内容大筋認める、弁護側陳述に涙

東京都目黒区で昨年3月、虐待された船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死や傷害などの罪に問われた父親雄大被告(34)の裁判員裁判の初公判が1日、東京地裁で開かれ、雄大被告は起訴内容を大筋で認めた。

ただ、弁護側は「愉快犯的な犯行でも連れ子が邪魔だったからでもなく、理想の家族、子どもをつくりたいとの焦り」と動機を説明。酌量を求めた。

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昨年3月の逮捕時、あごひげを生やし、精悍(せいかん)な印象だった雄大被告は、かなり痩せたのか、身に着けた黒のスーツはぶかぶかだった。ワイシャツの首回りも余り、短くした髪からは薄くなった頭頂部がのぞいた。

裁判長に認否を問われると、「1点だけ。私が結愛ちゃんの体に危険が及ぶと感じたのは(死亡前日の)3月1日ごろではなかったかと思います。ほかは間違いありません」と小さな声で答えた。結愛ちゃんが危険な状態であると気付いたのは検察が主張する2月下旬ではなく、死亡直前だったという主張だった。

検察側の冒頭陳述では、配布された要旨に目を走らせるだけで、表情を見せなかった。しかし、弁護側の冒頭陳述が始まり、弁護人が裁判員に「人の親になるのは難しいことです。家族の数だけ親の形があります。その過程で喜びを感じることもあれば、苦しみ、葛藤、挫折を味わうこともある。虐待を加えていたことは許してはいけないことです。船戸さん(雄大被告)はそれでも結愛ちゃんの父親であろうとしていたのです」と訴えかけると、スーツの左ポケットからハンカチを取り出し、涙をぬぐった。

弁護側は「明るく何でも言い合える関係」が雄大被告の理想の家族像で、「『血がつながっていないからダメなんだ』と言われることは受け入れ難かった」と主張した。結愛ちゃんは「友達が少ないのではないか」「食事に執着を見せすぎているのではないか」と考え、理想像とのギャップや実現できない焦りが「間違った方向に行き、強い虐待を加え続けてしまった」と説明した。「彼なりの親になりたいという思いがあった。愉快犯的な犯行でも連れ子が邪魔だったからやったことでもない」。雄大被告は左手に握ったハンカチを何度も目、鼻に当てた。

弁護側は事実関係は争わず、量刑に争点を絞る方針だ。「起訴されているのは保護責任者遺棄致死罪で、殺人や傷害致死ではありません。(妻の)優里さんへのDVを裁く場でもない」と主張した。懲役8年の判決を不服として9月30日に控訴した優里被告は3日、検察側証人として出廷する。被告人質問などを経て、判決は15日に言い渡される見通しだ。【中嶋文明】