旭化成の吉野彰名誉フェローら3氏にノーベル化学賞

ノーベル化学賞を受賞し、花束を贈られ、笑顔の旭化成の吉野彰名誉フェロー(撮影・村上幸将)

ノーベル化学賞が9日、スウェーデン・ストックホルムで、スウェーデン王立科学アカデミーから発表され、旭化成の吉野彰名誉フェロー(71)ら3人が受賞した。

吉野氏は携帯電話、パソコンに使用されている「リチウムイオン2次電池」の開発者の1人。6月に欧州特許庁(EPO)主催の欧州発明家賞を受賞するなど、国内外の賞を多数、受賞し、近年、ノーベル賞の候補に毎年、挙げられてきた。

1970年(昭45)3月に京大工学部石油化学科を卒業後、72年に同大学院工学研究科修士課程を修了し、旭化成に入社。80年代に充電することで繰り返して使うことが出来る、リチウムイオン2次電池の研究を始めた。

90年代になると、80年代に出始めた携帯電話の小型化、米マイクロソフトが1995年(平7)に発表した基本ソフト(OS)「ウィンドウズ95」を搭載したパソコンが一気に普及。小型で軽量なリチウムイオン2次電池が世界から注目され、吉野氏は携帯電話やパソコンの電池の“父”と呼ばれるようになった。

また、自動車もガソリン車から電気自動車(EV)への転換が進むが、吉野氏が発明したリチウムイオン2次電池は車の電動化に欠かせないエネルギー源となっている。同氏は航続距離を延ばすことを、今後の開発の課題としつつ、AIと絡めたEVの無人&自動運転化を提唱している。