伊藤さん刑事不起訴も再捜査「再起」も/紀藤弁護士

判決後「勝訴」と書かれた紙を手にする伊藤詩織さん(撮影・村上幸将)

ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)から15年4月に性的暴行を受けたとして、1100万円の損害賠償を求めて起こした民事訴訟の判決で、東京地裁(鈴木昭洋裁判長)は18日、山口氏に330万円を支払うよう命じた。

伊藤さんは16年の刑事裁判で不起訴処分とされた末に民事裁判で勝訴し「長かった」と涙した。一方、山口氏は判決に不満を訴え、控訴する考えを示した。

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紀藤正樹弁護士の話 伊藤さんの主張が真実であると民事裁判で認められた以上、何らかの犯罪が成立する可能性があり再捜査をしない理由はない。東京地検は不起訴処分としたが、嫌疑不十分には<1>犯罪性がない<2>犯罪性はあるが捜査が不十分の2つの意味がある。検察審査会は捜査権限を持たず、検察の捜査が不十分だった場合、威力を発揮しない不十分な一面があり、刑事裁判と民事裁判で判断が違う今回のようなケースは過去もある。刑事手続きには、不起訴処分とした事件の捜査に再着手する「再起」があり伊藤さんが申し出ることも可能。あとは検察がどう判断するかだ。