アベノマスク納入最後の1社、謎のユースビオ社

東京都千代田区民の自宅に届いた新型コロナウイルス対策用のマスク(2020年4月21日撮影)

配布された妊婦用の布製マスクから虫の混入や変色が見つかり、回収された問題で、菅義偉官房長官は27日、受注した4社のうち公表していなかった1社は福島市のユースビオ社であることを明らかにした。ただ1社、未公表だったことでネットでは「疑惑のアベノマスク」騒動となり、「お友達企業?」など臆測が飛び交っていた。菅氏は会見で「25、26日に改めて確認を行ったところ、ユースビオからの納入分についても配布されていたことが確認できたため、公表した」と説明した。

しかし、ユースビオ社はホームページがなく、信用調査会社の会社情報を検索しても該当する企業がないことからネットは再び騒然。グーグルアースで住所をたどると、所在地にあるのは平屋のプレハブで、社名を示すプレートもなく、窓には政党ポスターが貼られていたことから「ペーパーカンパニーか」「ダミー会社?」と書き込みが相次ぐ状態になった。同住所にある建設会社には問い合わせが殺到。建設会社が「弊社とは無関係。隣の会社だと思う。同じ住所に5、6社ある」と釈明する騒ぎになった。

妊婦用布製マスクは、興和(名古屋市)伊藤忠商事(東京都港区)マツオカコーポレーション(広島県福山市)が納入。興和と伊藤忠の納入したマスクから不良品が見つかっている。政府関係者によると、ユースビオのマスクからは不良品は確認されていないという。ユースビオの社長と同名で、同住所にある会社の経営者は18年に3200万円の脱税で、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けている。