周庭さん保釈「自由のため闘う」支えは欅坂不協和音

香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕され、11日夜に保釈された香港の民主活動家、周庭(英語名アグネス・チョウ)氏(23)は12日未明、香港市内で報道陣の取材に応じた。「拘束されている時に、ずっと『不協和音』の歌詞が頭の中で浮かんでいた」と話し、アイドルグループ「欅坂46」のヒット曲が、拘束中の孤独な自分を支えたことを明かした。

秋元康氏が作詞した17年発売の同曲は、同調圧力に負けず、自分の意志を貫く強さを歌った曲。今年1月にグループを脱退した平手友梨奈(19)が「僕は嫌だ!」と叫ぶフレーズが印象的だ。欅坂46は同年と19年、香港でも放送されたNHK紅白歌合戦で披露している。

高校時代の14年、大規模デモ「雨傘運動」に参加して注目され、今や「民主の女神」と呼ばれる周氏。小学校時代、日本アニメに夢中になったことをきっかけに日本文化に強い興味を持ち、独学で日本語を習得。日本のアイドルにも詳しく、「モーニング娘。」香港公演に足を運んだことも明かしている。何度も来日し、会見などで香港の自治の危機を訴えた。

日本の報道陣とは日本語でやりとりし、保釈の際も「拘束の間、日本を含めた世界の皆さんに応援や支援をいただいた」と、日本語で謝意を表明。日本では「#周庭さんの逮捕に断固抗議します」というツイートに多くの共感が広がっている。周さんは「私のために、日本でハッシュタグをつくってくださったと弁護士に聞いた」とも述べた。

香港の警察当局は周氏の起訴へ捜査を続けており、来月1日の出頭を求めている。周氏は「これまで4回逮捕されたが、今回の逮捕がいちばん怖かった。いちばんきつかった」と本音を漏らした。「どういう理由で国安法違反に問われたのか分からない。国安法は政治的弾圧に利用するためのもの」と主張し「香港人の1人として、香港の民主化、自由のために闘っていきたい」と、決意表明した。