安倍首相に休み求める声、07年は返上1カ月後辞任

安倍晋三首相(19年7月24日撮影)

体調不安が指摘され始めた安倍晋三首相は18日、終日都内の私邸で過ごした。16日から公務はなく、今日19日に公務復帰の予定だが、政府・与党内ではさらなる休みの取得を求める声がある。安倍首相が帰省やゴルフなどを含めて、まとまった夏休みを取らなかったのは、第1次政権の2007年以来13年ぶり。07年はその後、退陣に追い込まれた。17日に都内の病院で受けた検診内容も明かされておらず、首相の健康への不安は増すばかりだ。

16日から公務を入れず、都内の私邸で形ばかりの「夏休み」を過ごした首相。17日はかかりつけの慶応大学病院を受診したが、18日は外出せず静養に努めた。

17日に公になる形で病院を受診したことで、首相の健康問題への不安はより高まった。新型コロナウイルス対応で約150日間連続で勤務し、今年はまとまった休みを取れず、最近は疲れを隠せなくなった。17日の病院受診も、6月13日に受けた人間ドックの「追加の検診」とされるが、7時間半も病院に滞在し、国会関係者は「額面通りには受け取れない」。受診の詳しい内容も分からず疑心暗鬼を生む結果になっている。

首相は例年、地元山口への帰省や山梨県の別荘滞在でまとまった夏休みを取ってきたが、今年は13年ぶりにできなかった。7月、8月にそれぞれ3日ずつ、公務なしの日を過ごした。

13年前の夏。首相は参院選敗北や外遊、内閣改造や自民党役員人事に追われ、心身共に疲弊を極めた。体調不良で公務日程を繰り上げた翌日に、電撃辞任。持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、突然の退陣には健康問題が大きく影響した。

当時はメールマガジンなどを通じて発信もしたが、最近の首相は肉声もほとんど聞こえてこない。「13年前のようになってはならない」(自民党関係者)と、首相に休みを求める声は多い。公明党の山口那津男代表は、18日の会見で「休みなく働き続け、緊張感が途切れず体を酷使してきたのではないか。健康に万全を期した上で、次の政治活動にしっかり対応してほしい」と、促した。

秋は「ザ・政治の季節」。今週、閣議や自民党役員会はないが、9月は来年自民党総裁任期を迎える首相にとって、事実上最後となる内閣改造や党役員人事が予定される。新型コロナウイルス対応もあり、仕事量はまた増える。首相は19日に官邸に出勤予定だが、健康不安は当面、くすぶり続けることになりそうだ。

◆安倍首相の07年の夏 第1次安倍政権で、7月29日投開票の参院選で自民党が民主党(当時)に敗北。責任論も出る中、首相は続投を表明し、8月に入ると政権の立て直しに当たるため、内閣改造や自民党役員人事の構想を練り、同27日に断行した。例年の静養先である山梨県の別荘には行かず官邸などで執務を続け、休みは公務がない日に自宅で静養しただけだった。8月後半はインドを訪問したが帰国後に体調が悪化、9月12日に退陣表明した。