池袋事故遺族松永さん公判中に涙、飯塚被告うつむく

亡くなった真菜さんと莉子ちゃんの遺影を手に、東京地裁に入る松永拓也さん(撮影・村上幸将)

東京・池袋の都道で19年4月19日に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、今年2月に自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で東京地検に在宅起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)の初公判(下津健司裁判長)が8日、東京地裁で開かれた。

真菜さんの夫の松永拓也さん(34)と真菜さんの父の上原義教さんは、被害者参加制度を使って裁判に参加し、車いすに座る飯塚被告を時折、厳しい視線で見つめた。松永さんは冒頭陳述後の証拠調べで、検察官が自らの供述調書が読み上げる中で、真菜さんと莉子ちゃんが亡くなった当時のことを語った部分に至ると、涙を流した。松永さんはスーツの内ポケットから出したハンカチで目頭を何度も拭った後、悔しさと無念さをぶつけるかのようにハンカチを両手で握り締めた。

上原さんは、真菜さんの遺体に向かって「父さん、何もしてあげられなくてごめんね」と語ったくだりが読み上げられると、おえつを漏らした。何度、手で拭っても、涙は止まらなかった。

飯塚被告は、涙する松永さんと上原さんに視線を一瞬送ると、首を45度くらい曲げて、視線を落とし、何度もまばたきを繰り返した。反省の姿勢は伺えたが、涙は見せなかった。【村上幸将】