「ジョー・バイデン」梅田穣町長“トップ会談”の夢

熊本・山都町の梅田穣(ゆたか)町長(同役場提供)

日本の「ジョー・バイデン」は、おらが町の飛躍を誓う-。

熊本県山都(やまと)町の梅田穣(ゆたか)町長の名前が、米大統領選で当選確実になった民主党ジョー・バイデン前副大統領(77)と音読みが同じ「ばいでん・じょう」だとして、大きな注目を集めている。梅田氏は11日、日刊スポーツの電話取材に応じ、一躍「時の人」となった心境を語った。

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「お義父さんが、ネットで話題になっている」。

梅田氏が「次期米国大統領」と自分の名前が同じ読み方だと気付いたのは、息子の妻から、そう知らされたことがきっかけだった。今は「バイデンさんがえらく身近に感じるようになりましたよ」と、話す。

初対面の相手には、名前の「穣」を「みのる」や「ゆずる」と間違えられることが多いという。「中学時代の英語の先生に『ジョー』と呼ばれていたこともありますが、まさか『梅田』を『バイデン』なんて。思ってもいませんでした」と感慨深げに話した。

「ばいでん・じょう」効果は絶大だ。町民からは「町おこしにつなげて欲しい」との声が上がり、「大統領、アメリカに行ってきな!」と、ハッパを掛けられたこともあったという。梅田氏は「難しいとは思いますが、バイデンさんが来日した際にはぜひお会いしてみたい」と、“トップ会談”の夢も描いている。

人口約1万5000人の町と、大国米国との交流計画も温める。今後の町づくりをたずねると「具体的なことは決まっていない」としながらも「バイデンさんに山都町の特産品や、地酒を贈りたい。デラウェア州との関係づくりもやっていきたいです」と、バイデン氏や同氏のふるさととの交流も視野に入れていた。

米大統領との「名前つながり」といえば、オバマ前大統領と音が同じ福井県小浜(おばま)市で、市民有志が「オバマを勝手に応援する会」を立ち上げて、日本から熱烈応援した。米国でも注目され、オバマ氏もしっかり認識していた。

熊本は16年に大きな地震に見舞われ、今年は7月の記録的豪雨で65人が亡くなった。「今年の雨は本当に大変でした。(名前の話題は)熊本にとって明るいニュースの1つになれば」と話す梅田氏。「私の名前とは関係なく、山都町をもっと知ってもらえるようにしていきたい」と、意欲をみせた。【沢田直人】

◆梅田穣(うめだ・ゆたか)1947年(昭22)6月26日生まれ。熊本県山都町出身。14年6月に熊本県農業協同組合中央会の会長に就任。17年3月から山都町長。お酒が好きで、特に町の「通潤酒造」の地酒の熱かんは夏でもよく飲んでいるという。

◆山都町 九州の中央に位置し、熊本県東部の上益城郡(かみましきぐん)に属する。2005年に阿蘇郡蘇陽(そよう)町、上益城郡矢部町、同郡清和村が合併して誕生。面積は544・67平方キロで、県内自治体では3番目の広さ。人口は約1万5149人(15年10月)。日本オリンピック委員会(JOC)会長の山下泰裕氏(63)が同町出身。