成人式開催の杉並区「社会人として信頼」の思い込め

新型コロナウイルス感染急拡大で、首都圏を中心に緊急事態宣言が再発令された中、東京23区では唯一、杉並区が成人式を11日、杉並公会堂で予定通りに開催する。

杉並区の担当者は、新成人を社会人として信頼する第1歩と位置付け、万全な感染対策のもとに式典だけを行うと話した。10日には、東京都瑞穂町などで成人式が行われた。

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1都3県への緊急事態宣言再発令は、成人式まで1週間を切った段階と直前だった。政府や東京都が成人式を延期やオンライン開催協力を各自治体に要請したこともあり、杉並区では開催をめぐって急きょ対応に追われた。

区担当者によると、この数日は平均約100件の成人式関連の問い合わせがあり、中止や延期を望む声が8割ほどあったという。区で慎重に検討した結果、予定通りの開催を決めた。

担当者は「延期やオンライン開催の協力要請は、式典後に若者が大勢で集まって飲食してどんちゃん騒ぎをするからと、最初から信頼していないことが根底にある」と分析。「成人式は新社会人として信頼しているとメッセージを最初に伝える場でもあるし、こちらも開催すると約束していた。イベント開催条件(=大規模イベントは収容人数の50%を上限に最大5000人)も満たしている。来場しないという選択肢もあります」と説明した。

区側によると、昨夏から準備を進めてきた。例年、区の新成人は約5000人で約2000人が成人式に来場している。式典を1日2回から4回とさらに分散。会場の収容人数約1000人で地域ごとに来場時間を決め、各回半数の500人の来場を見込んでいる。約1時間の式典だけを行い、その後、場内で行っていた交流の場は中止する。

出席者が滞留しないよう場内は一方通行。場外では最寄りの荻窪駅まで職員を数人配置する。場内に記念撮影用パネルは設けない。式典でマジックやダンスパフォーマンスが行われたこともあったが、今回は歓声が上がらないようにクラシック演奏が行われる。

担当者は「感染対策は万全を期しています。式典後は新成人の自覚を持って速やかに帰宅し、両親に感謝していただければ」と話した。【近藤由美子】