電気代「市場連動型」4月まで高騰続く可能性/識者

電力取引を行う日本卸電力取引所(JEPX)の指標価格高騰にともない、小売り電気事業者が扱う「市場連動型プラン」の電気料金が、数倍に値上がりする可能性が出てきた。電力自由化以降、大手電力会社に対抗すべく、小売り事業者がJEPX指標価格によって料金を変動させ、安く提供してきた。直前6カ月の平均で算出するため、一時的高騰なら大きな影響はなかったが、今回は1キロワット当たり5から10円程度の価格が1月以降に急騰。13日には200円に迫っている。

契約者がリスクを含んだサービス提供と了承した上で契約をしている各社だが、対応の検討を開始。国内の電力契約者全体の約2%程度と、対象者は一部だが、通常価格に戻る明確な見通しは立っていない。コロナや大寒波の影響は、電気代高騰にまで派生してきた。

 

◆専門家・豊田陽介氏の目 今回はいくつかの条件が重なってしまった。秋には今冬に火力発電燃料の液化天然ガス(LNG)が足りなくなってしまう予想が立っていたが、輸出大国の機械トラブルで産出量が減少した上に、コロナで(米国からの輸出経路の)パナマ運河の航路が渋滞している。発注しても届かないことでLNGが逼迫(ひっぱく)してしまった。18年1月も18円くらいまで上がりましたが、通常なら問題のないものでした。

政府もエネルギーセキュリティー欠如を指摘されてしまうから、国民に電力量制限などのメッセージを伝えにくいのではないでしょうか。コロナ対策の失敗とも言われかねませんし。事業者側も「安い」メリットが先行してしまって、リスクの部分を軽んじて説明する部分もある。まさかここまではという気持ちもある。対応せざるを得ないのは少しでも顧客離れを防ぎたいからですが、企業の体力や資金繰りにもよる。2月、3月には寒波の頻度は少なくなるでしょうが、値上がり傾向は4月まで続くかもしれません。(気候ネットワーク上席研究員)