山尾志桜里氏が国会議員引退を表明「次の選挙出ない」「新陳代謝が必要」

山尾志桜里氏(17年10月8日)

国民民主党の山尾志桜里衆院議員(46)は17日、「私には政治家とは別の立場で新しくスタートしたいことがあります。今回の任期を政治家としての一区切りとしたいと思います」「次の選挙に出ることはありません」と自身のSNS「note」で表明し、任期限りで国会議員を引退することを明らかにした。

山尾氏は昨年9月、次期衆院選に比例東京ブロックの単独1位で出馬すると表明。現地盤の愛知7区からの「お国替え」するとしていたが、一転した形となった。

山尾氏は民主党から出馬した09年衆院選で初当選。12年衆院選で落選したが、14年衆院選で再び当選した。17年に不倫疑惑報道で民進党を離党し、無所属で衆院選3度目の当選。同年に立憲民主党に入党したが昨年、国民民主党に移った。衆院議員を3期10年務めている。今年4月には、国会議員に付与されている「議員パス」を私的な目的で不適切使用したと報じられ、事実を認めた上で謝罪していた。

▽以下、山尾氏の掲載全文

国会が閉会しました。

コロナ禍こそ、法律を作ったり、行政をチェックしたりするために、国会を開いておかなければいけないのに、延長が認められなかったのは残念なことです。

 

なんとか閉会中でも、国会議員である以上は、工夫をして、やるべき仕事をしっかりやっていきたいと思っています。

 

ただ、私には政治家とは別の立場で新しくスタートしたいことがあります。

そこで、今回の任期を政治家としての一区切りとしたいと思います。

 

2009年に国会議員となって12年、現職としては10年務めたことになります。

 

微力ながら10年間でいくつかの役割は果たすことができました。

一方、10年かけてできなかったことは、次の10年でもできないと感じます。

 

政治家という仕事を経験し、政治家一筋というキャリアが標準モデルとなっていることに何度も違和感を覚えました。

 

政治家以外にもやれることがあり、やりたいことがある人こそが、期間限定で政治家をやるようになるといい、そう確信しました。

 

そういう人たちは、次の選挙のために必死になる労力と時間を、きっちり任期中の仕事に振り向けられるからです。

 

永田町に一番必要なのはプレーヤーの交代です。

 

現職がいても毎回予備選をやること。

そして議員任期を制限すること。

新陳代謝をシステム化するには、この2つで必要十分。

 

そう思って私なりに様々な場面で提案してきましたが、実現まではまだ時間がかりそうです。

 

ということで、まずは私自身が、この3期10年で区切りをつけようと思います。

 

別の場所からやってきて、次の場所へと去っていく。

 

これが当たり前のキャリアの一つになるといいな、と思います。

 

そして、新しく挑戦したいこと、そのフィールドとしての次の場所については、しっかりと任期を全うしてから、自分なりの方法でお伝えします。

ただ、今もこれからも変わらない自分の目標がひとつあります。

 

それは「自由と民主主義と法の支配」を、この日本に、自分たちの力でしっかり根付かせることです。

 

日本はそもそも自由に対する渇望が薄い社会です。

そこにコロナ禍と権威主義の圧力が加わって、日本ばかりか世界中で「自由」の地盤沈下が起こっています。

 

この沈んだ「自由のライン」をデフォルトにしないために、むしろ今こそ高く手を伸ばして「自由のライン」を持ち上げる必要を痛感しています。

 

民主主義=選挙という図式を卒業して、選挙以外の政治参加の新しいルートをつくっていくことも大切です。

 

せっかくのデジタル技術を、民主主義の敵ではなく味方にしながら、政治家以外の人たちにどれだけ政治に幅広く関わってもらえるか。ここが、これからの国家の成熟度を左右する大きなテーマです。

そして、コロナ禍。

補償も効果も法の根拠もあやふやな人権制限がまかりとおっています。

日本の「ゆるふわ立憲主義」の負の側面があらわになったからこそ、この問題を社会全体で共有し、しっかり検証して、人の支配・空気の支配から法の支配への転換点にしたい。

 

自由と民主主義、そして法の支配。

こうした価値は毎日の暮らしや幸せを目に見えない形で支えています。

だから、失ったことに気づく前に、獲得する努力をひたすら重ねていく必要があって、それはライフワークとするに値する仕事だと思っています。

 

だからこそ、これまで立憲的改憲や人権外交に取り組んできましたし、これからもその気持ちは変わりません。

 

そして、この目標は、政治という磁場から離れた方がよりよく実現できると思うようになったのです。

 

というわけで、次の選挙に出ることはありません。

 

その分、残された大切な任期を使って、しっかり権力を統制できる憲法の緊急事態条項案をつくったり、先日、党でまとめた人権侵害対処法を条文案にブラッシュアップしたり、優先順位の高い立法作業に腰をすえて取り組むつもりです。

 

出来上がった条文案については、どなたでも、どの政党にも参考にしていただけるように、SNSなどでアップしていきます。

 

それではまた!

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 

◆山尾志桜里(やまお・しおり)1974年(昭49)7月24日、宮城県生まれ。東大法学部卒。02年に司法試験に合格、東京、千葉両地検などに着任。小学4年の時にミュージカル「アニー」の初代アニー役を務めた。