東京五輪、大谷フィーバー…トラウデン直美「21年重大ニュース」振り返る

今年起きたニュースの写真を前に、1年を振り返るトラウデン直美(撮影・柴田隆二)

東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは無観客ながら開催されたものの、新型コロナウイルスの感染拡大に直面し続けた1年だった。五輪後の8月20日には、過去最多となる2万5851人の新規感染者数を記録。五輪開催に向けては世論も分断され、格差問題とともに議論が広がった。日刊スポーツでは今年の重大ニュースについてネット投票を実施。現役大学生としてワイドショーでコメンテーターを務める、Z世代のトラウデン直美(22)にこの1年を振り返ってもらった。

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トラウデンは慶大法学部の4年生。父は大学教授で夫妻の会話は英語。「ニュースを見ながら両親が政治を語り合う家庭でした」。高校はスーパーグローバルハイスクールの指定校でテーマは環境。自然と環境問題や女性の働き方などに興味を抱くようになり、大学では国際政治を学ぶ。大学生の肩書で、フジテレビ系「めざまし8」でスペシャルキャスター、TBS系「ひるおび!」ではコメンテーターを務める。いずれもZ世代での立場だ。

当初は、難しいことを背伸びして言うことが多かったそうで、「偉そうだ」とか「小生意気だ」という意見もあったという。トラウデンはそれも認め、今では少し肩の力が抜けているとか。「知らないなりにこう思うんじゃないですかって、背伸びはしなくなったので、前よりも、偉そうだなっていう意見は減ったようです」。

お茶の間には、若い女性が何を…などという偏見もまだ残っているのかもしれない。そんな象徴が森元首相の女性蔑視発言なのだろう。「そういった時代で生きてきた方だから、当然という感覚なんでしょうが、もうそれは間違っているという認識です。でも、(森氏を)罵詈(ばり)雑言浴びせて非難というのも違う。今はこういう価値観、みんなが生きやすい社会を作るために変わっているので、それを知ってくださいということだと思うんです。世代間の分断が起きてしまうことは避けたいです」。

SDGsという言葉がさらに普遍化した年でもあった。各業界がさまざまに取り組んだが、表面的な姿勢も指摘する。「当たり前の言葉になったのは良かったのですが、SDGsに関するものが多く出すぎて、特に私たちの世代では、それを言っておけばいいんでしょ、みたいな目線の人が増えている気がします」。

番組ではZ世代の座談会も行った。「なんでもかんでもSDGsと言えばいいと思っていない? という意見がすごくあったので、ある意味若い世代でSDGsに対するリテラシーも育ってきているのかな。むやみやたらではなく、中身が伴っていないと、見抜く視線が生まれているのはすごく頼もしいと思います」。

モデルだけにファッション業界の環境問題対策にも注視する。大量生産、大量消費、大量廃棄への批判は根強い。「ファストファッションがないと困る方は一定数はいるとは思います。でも、少し余裕のある方々は考えてはいるのかと。かわいいだけのお洋服じゃなくて、環境にいいものとかを。あと、洋服を作るのにコストはかかるので、労力以下のコストになるのは避けて欲しい。人権問題にも関わります。正当な価格というのを理解したい」。

今年は総選挙が行われたがZ世代の投票率はシルバー世代と比べると低い。「社会とか政治に興味がないわけじゃないと思います。今の若い人たちは政治にスピード感を求めるので、政治のスピードの緩さに頼ったら無理だなと思っている人が多い。政治よりも、ソーシャルビジネスを自分で起こす人がすごく多いと思います」。ただ、政治でしか解決できない問題も。「諦めを感じていては届く声も届かないので、選挙は行かなきゃ。でも、20代全員が選挙に行ったとしても、高齢者の方の投票数に全然足りない。今の自民党の投票率は約半分くらい。投票率が50%ちょっと。4分の1の同意だけで国が動くって不安だし、7割以上の人の意見が国に政治に反映されていないんだと思うと、大丈夫なのかなって思いますよね」。【竹村章、沢田直人】

◆Z世代(ゼットセダイ) 90年後半から00年代に生まれた人を指す言葉。主に60~70年代に生まれた人をX世代、80~90年代に生まれた人をY世代(ミレニアム世代)と呼び、XとYの次世代という点からZという名称が付けられた。物心がついたときからすでに、インターネットやオンラインなどに慣れ親しみ育ってきたのが特徴。

◆SDGs(エスディージーズ) 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、15年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた国際社会共通の目標。「貧困をなくそう」、「気候変動に具体的な対策を」、「ジェンダー平等」など計17の目標が掲げられている。30年までの長期的な開発の指針で、世界が1つとなって実現を目指す。

眞子さん結婚 思い貫かれた姿…すてき 

秋篠宮ご夫妻の長女眞子さんが小室圭さんと結婚し、11月に渡米した。「(眞子さんは)最後まで思いを貫かれていた姿はかっこよかったと思います。すてきな女性だなって感じました」。小室圭さんの母親と元婚約者の「金銭トラブル」などさまざまな問題が浮き彫りとなり、批判が続いた。「今は皇室を離れられたわけで、ここから周りがグチャグチャ言うのは違うと思う。ただ、確かに皇室にいらっしゃった時期というのは『国民の税金で』っていうお話も分かる。早くご結婚を完了されて、皇室を離れて静かに暮らしてほしいっていうのが本音でした」。1人の女性としては「本人の意思を尊重してほしいっていう気持ちはありますよね」と語った。

無観客五輪 切磋琢磨に元気もらえた 

コロナで前年から延期された東京五輪・パラリンピックが無観客ながら無事、開催された。「スポーツ選手の方が切磋琢磨(せっさたくま)しているのを見ると、本当に元気をもらえます。ああいったスポーツイベントは大いにやって欲しいなって思います」。新種目のスケートボードでは新たなスターが続々誕生した。「スケボーの開心那選手(当時12)とか若い選手がめちゃくちゃ活躍していて、プロの顔をしていました。精神年齢の成熟度が年々下がっているのかなというのを感じて、ものすごくかっこよかったです」。コロナ禍の開催で、政治的な側面も目立った。「オリンピックに政治が絡んできて、そこにスポーツ選手が利用された感覚が好きじゃありませんでした。今後はオリンピックをリニューアルして欲しいですよね」。

大谷翔平MVP コロナ禍の中で希望

エンゼルス大谷翔平が「二刀流」で満票MVP獲得した。「コロナのニュースとか暗い話題が多かった中で、ずっと希望を与え続けてくれた方。私は野球があまりわからないですけど、野球の功績以上に、人々の希望であったっていう意味も込めて、すごい人なんだなということは感じています」。成績だけでなく、人柄も米国で評価された。「(大谷の)プロ意識が周りに与える影響みたいなのをすごく私は感じました。日本だけじゃなくてアメリカでも(ファンが)熱狂されていましたし、人種を超えてっていう意味で、アメリカでも大きな意味があることを成し遂げた方なんじゃないかなと思います」。

10万円給付政策 一番困っているのって…

菅義偉前首相が約1年で辞任した。「私は菅さんの印象が実は良くて、コロナの対応だけがやっぱりちょっと…。平時だったら、いろんなことを着実に堅実に進めていってくださる方だと思います」。菅氏が自民党総裁選に出馬せず、新総裁に選ばれた岸田文雄氏が新首相となった。「岸田さんはまだちょっと分からない。意外と(自分と)同世代の情報をキャッチしていないのかなって印象は受けちゃいます。10万円給付の政策は子どもに支援してくれるというのは、大いに良いと思うんですけど、一番困っているのってそこから上じゃない? って思っちゃって。2人に1人が奨学金という借金を背負って社会に出るって言われていますし、大学やめちゃったら戻れないから、そこの世代を急いで支援して欲しいなっていう気持ちはあります」。

◆トラウデン直美(なおみ)1999年(平11)4月21日、京都府生まれ。12年、コンテスト「ミス・ティーン・ジャパン」でグランプリを獲得し芸能界入り。13歳でファッション誌「CanCam」でモデルデビュー。18年4月から日本テレビ系「Going!Sports&News」日曜版お天気キャスター。現在、フジテレビ系「めざまし8」のスペシャルキャスターのほか、情報番組のコメンテーターを務める。21年1月から、環境省サスティナビリティ広報大使、同2月から、厚生労働省のコロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチームのメンバー。現在、慶大法学部4年生。身長169センチ。血液型A。