石原慎太郎さんは、ベストセラー作家でもあった。一橋大在学中に書いた「太陽の季節」で1955年(昭30)の第1回文学界新人賞、翌年の第34回芥川賞を受賞した。裕福な家庭で育った若者の無軌道な生活ぶりを描写した。当時、新進気鋭の作家の登場とその描き方に、高名な作家たちの評価は真っ二つに割れたが、文壇デビューへの出世作となった。56年には映画化もされ、弟で俳優だった故石原裕次郎さんも脇役で出演。映画デビューを果たした。
日米貿易摩擦真っただ中の89年には、「『NO』と言える日本」を、「ソニー」創業者の1人である故盛田昭夫さんとの共著で出版した。米国のビジネス手法を批判し、「日本は他国に頼るな」と主張した。
96年には裕次郎さんのことをつづった私小説「弟」を発表。晩年になっても執筆意欲は衰えず、16年には国会議員時代に金権政治批判の急先鋒(せんぽう)として標的にした田中角栄元首相を題材にした「天才」も著した。関越自動車道や上越新幹線を開通させるなど、田中元首相が提唱した「日本列島改造論」や、「日中国交正常化」などの業績を見直すと同時に、その人間像も描いた。
このほか、小説、エッセーなど、著作は数多くある。