ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは3月31日、北部チェルノブイリ原発について、ロシア軍が完全撤退し、ウクライナ側が管理を取り戻したと発表した。同社によると、ロシア軍は、原発を制圧した2月24日以来、拘束していたウクライナ国民防衛隊員らを連れ去ったという。また86年の原発事故による放射性物質の汚染が深刻な地域で、ロシア兵らが塹壕(ざんごう)を掘っていたと指摘。被ばくで健康被害の兆候が出たことに驚き、慌てて退却したとしてもおかしくないとの臆測も示した。ロシア兵の被ばくの程度は確認できていない。
一方、ロシアのプーチン大統領は31日、徴兵に関する大統領令に署名した。4月1日から7月15日の間に新たに13万4500人を招集する。ロシアメディアによると、規模は例年並み。ロシアは兵役1年の徴兵制で、18~27歳の男性が対象。国防省は、徴兵はウクライナでの作戦には関係ないとしているが、ロイター通信によると、数カ月の訓練後、前線に送られる可能性を指摘する見方もある。
ウクライナ当局は1日、首都キーウ(キエフ)周辺のほか北方のチェルニヒウ州でロシア軍の撤退が続いたとした。米国防総省高官によると、ロシア軍機の30、31両日の出撃回数は各300回以上。2、3日前の倍以上に増えた。空爆はキーウのほか北部チェルニヒウ、東部イジュム、ドンバス地域に集中し、人道危機が続く南東部マリウポリでも続いているという。
マリウポリでは1日、人道回廊による市民退避が計画されたが、難航している。ロイター通信によると、赤十字国際委員会(ICRC)は、退避支援団が向かったが、人道支援物資の搬入は拒否されたと説明した。ICRCは50台以上のバスを用意したとされ、ウクライナ側への組織的退避が始まるか注目される。
イタリアのドラギ首相によると、ロシアのプーチン大統領は30日、電話会談で、ウクライナとの首脳会談は「時期尚早だ」と述べた。停戦条件がまだ整っていないとしたという。両国高官は1日、停戦交渉をオンラインで再開した。