ゼレンスキー大統領「これはジェノサイドだ」市民犠牲判明でロシアの「戦争犯罪」へ非難高まる

ウクライナのゼレンスキー大統領(ロイター)

ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャなどで多数の市民の犠牲が判明し、国際社会では4日、ロシアが「戦争犯罪」や「虐殺」を行ったとする非難が拡大、制裁を一層強化すべきとの声が高まった。ウクライナ当局はキーウ州で民間人410人の遺体が確認されたとし、国際刑事裁判所(ICC)に調査を求めた。

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ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSで道に放置された遺体の写真を公開。米CBSテレビの取材に「これはジェノサイド(大量虐殺)だ。国家と民族の破壊だ」「国全体が拷問を受けている」などと激しく非難した。

米国のブリンケン国務長官は「腹を殴られたような衝撃を受けた」と語り、ロシア軍の責任を追及する考えを表明。英国のジョンソン首相は「プーチンとその軍による戦争犯罪の新たな証拠だ」と批判。ロシアに対抗するため「全力を尽くす」とし、制裁強化などを訴えた。フランスのマクロン大統領は、ブチャの写真について「見るに堪えない」「ロシアはこれらの犯罪について答えなければならない」と述べ、追加制裁が必要と強調。欧州連合(EU)がロシア産石炭・石油の禁輸措置を取る可能性に言及した。ドイツのランブレヒト国防相も、EUとしてロシアからの天然ガス禁輸を議論すべきと訴えた。

欧米メディアなどによると、ブチャでは路上に多数の市民の遺体が放置され、両手を後ろで縛られたり、切断されたり、拷問されたり、後頭部を銃で撃たれたりした遺体もあったという。ブチャの副市長は、確認した市民約300人の遺体のうち約50人は処刑されたと説明。市長も280人の遺体を集団埋葬したとしている。国際人権団体は、ロシアの戦争犯罪事例を確認したと発表。ブチャでは3月4日、ロシア軍が男性をひざまずかせて頭部を銃撃。同13日には東部ハリコフ近郊で学校に避難していた女性が性的暴行を受けた。

タス通信などによると、ロシア国防省は「1人の住民にも手を出していない。写真はウクライナ政府の挑発だ」と主張した。