スケボー教室が大盛況 堀米、四十住…東京五輪メダルラッシュで注目度アップ

堀米雄斗のサインの前で笑顔を見せる境基州さん(撮影・沢田直人)

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東京オリンピック(五輪)からまもなく1年。新種目だったスケートボードでは日本人選手のメダルラッシュで、競技は一気に注目を集めた。五輪後、都内のスケボースクールには、未来の堀米雄斗や四十住さくらを目指す子どものスケーターが増加した。東京・原宿には5月、補助ロープを使用する初心者向けのスクールが新たにオープン。設立者は「スケーターのマインドを広めたい」と語った。

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東京都江東区の屋上スケートパーク場「リポビタン for Sports SKY GARDEN by H.L.N.A」は、堀米が撮影で使用したことがあるスケートパークで、13年から営業している。スクールには園児や小学生など約15人が参加した。ヘルメットとサポーターを着けて準備運動からスタート。子どもたちは段差を跳び越えたり、坂をさっそうと滑ったり、真剣なまなざしで取り組んでいた。

指導している境基州さん(34)によると、東京五輪の影響で、21年の生徒数は20年と比べて約1・5倍に増えたという。22年の月単位でみても生徒数は増加傾向にあるという。境さんは「去年からスクールの体制を見直して、レッスンの回数を増やしたり、講師を増やしたりしました。定員も多い回は10名から30名にしました」と説明した。

レッスンを終えた参加者たちは満足そうに汗を拭った。子どもたちと一緒に滑っていた会社員の近藤章弘さん(63)は「年齢関係なく、みんなで楽しむことができる。子どもが技を決めると親よりも喜んじゃう」と笑顔を見せた。近藤さんは20年春にスケボーを始めた。しかし、新型コロナ禍でスクールが一時閉鎖していたこともあり、再開のタイミングを逃していたという。東京五輪で日本人選手の活躍に感動し再挑戦。2年のブランクが空いたが、月に8回以上通うようになったという。昨年の五輪を見てクリスマスプレゼントでスケボーをもらった宮崎晴陽ちゃん(5)は「オリンピックに出たい」と意気込む。父親もスケボーをしている古屋志季(ゆき)ちゃん(6)は「Xゲームに出たい」と力を込めた。

初心者向けのスクールも新たにオープンした。スケートボードスクール「LAGOON(ラグーン)神宮前店」は、東京都渋谷区のJR原宿駅から徒歩6分。代表者の平野創さん(38)によると、5月から営業を始めひと月足らずで200人以上が無料体験に来たという。日本初という補助付きランプには天井から2本のロープがつるされている。平野さんは「僕がやり始めた頃は『転んで覚えろ』みたいな感じでした。でもロープにつかまれば恐怖心が少なくなる」と語った。

女性や子どもなどの初心者を中心に競技人口の裾野を広げることが目的。記者も初めてスケボーに挑戦した。「25歳、真夏の大冒険」である。足はふらつき、腰は引けていたが、ロープとスタッフの助けを借りて、約50分のレッスンを汗だくになりながら楽しんだ。平野さんは「みんながスケーターのマインドを持つと、挑戦する人を応援する世の中になると思う。転んでも手を差し伸べるし、互いにリスペクトがある寛容な世の中になるんじゃないかなと思っています」と話した。【沢田直人】

◆東京五輪・スケートボードの日本人選手の活躍

4種目で金3個、銀1個、銅1個とメダルを量産。男子ストリートでは堀米雄斗が初代王者に輝いた。女子ストリートでは西矢椛が金メダル。中山楓奈は銅メダルを獲得した。女子パークでは四十住さくらが金、12歳だった開心那が銀に輝いた。スノーボードとの二刀流で男子パークに挑んだ平野歩夢は14位だった。フジテレビの倉田大誠アナウンサーが西矢に向けた実況「13歳、真夏の大冒険」と、プロスケートボーダー瀬尻稜の解説「ゴン攻め」「ビッタビタ」が反響を呼び、「2021ユーキャン新語・流行語」にノミネートされた。