上野の双子パンダ、間もなく1歳 雄シャオシャオ、雌レイレイの1年を振り返った

6月13日(355日齢) ジャイアントパンダの母子。双子は左が雄シャオシャオ、右が雌レイレイ(東京動物園協会提供)

東京・上野動物園の双子のジャイアントパンダが、6月23日に1歳の誕生日を迎える。雄のシャオシャオ、雌のレイレイともに元気にすくすく育っており、最近は性格の違いも出てきたという。コロナ禍の中、上野動物園で初めて誕生した双子パンダの1年を振り返ってみた。

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双子は、昨年6月23日午前1時3分と同2時32分に誕生した。パンダの母親は、2頭同時に赤ちゃんの世話をすることは少ないとされるため、すぐに1頭を保育器に移した。これが雄のシャオシャオで、体重は124グラム(0日齢)。誕生時に母親シンシンがずっと抱いていた赤ちゃんが雌のレイレイで、146グラム(1日齢)。シャオシャオの体温は最初に取り上げた時が33・8度、レイレイは5日齢時で36・7度前後だった。

約1年がすぎた6月13日(355日齢)時点の体重はシャオシャオが27・15キロ、レイレイが27・10キロ。上野動物園・教育普及課の大橋直哉課長は生育状況について、お姉さんシャンシャンの1歳時と比べてほぼ変わりはないとし「獣医師も特段問題はないと判断しています」と説明した。1年間、病気などしなかったのだろうか。大橋氏は「小さい頃、若干、便状が緩くなったり、便の出が悪かった時がありましたが、ミルクの配合や濃度などを変えることで安定しました。幸い、一刻を争うなどの事態はありませんでした」と振り返る。

双子は当初は、母親が1頭の世話をしている間、もう1頭は保育室で管理され、時々入れ替えられて育てられた。保育室では、母親が寝ている時などに職員が搾乳した母乳が与えられ、徐々に人工乳の割合が増やされた。保育器内では心拍数、呼吸数、腹部体表温、経皮的動脈血酸素飽和度も計測されていた。

誕生から数日後には体の模様が出始め、7月初めには性別が判明。8月に入ると目も開いてきて、音にも敏感になった。基本的にはよく寝る生活だが、9月になるとハイハイで移動できるようになり、同下旬には歯が生えてきたことが確認。10月には名前が決まり、同下旬からは2頭一緒に母親に預けられ、体重も10キロを超えた。大橋氏は母親の子育てについて「シンシンが子どもたちを識別しているかは分かりませんが、一方に世話が偏ったりはしていません」と話す。

11~12月にかけ、屋外に出たり、木に登れるようになった。1月12日からの一般公開に向けて室内展示室に移動したが、新型コロナ感染再拡大で休園になり、一般公開もこの時は3日間限定となった。2月からは屋外運動場にも出るようになり、木に登って休むようになった。3月25日に公開が再開。4月には永久歯への生え替わりが始まり、5月には初めての固形物=リンゴも食べた。体重は、じっとしている時に衣装ケースに入れて計測している。まだ離乳はしていない。人工乳の場合、1日当たりの量は体重の増減によって変えられ、350日齢時点では、シャオシャオが体重の2・2%、レイレイは体重の1%が用意された。

性格の違いや個性も出てきた。シャオシャオは、感情表現が豊かで、楽しい、怒っている、怖がっているなどが分かりやすいという。物音などに驚くことも多く繊細な面が見られる一方、母親の上に飛び降りるなど大胆な行動をとることも。レイレイはマイペースでおっとり。母親やシャオシャオの動きをよく見て、要領よく行動している印象という。場所(擬木の上)をめぐってシャオシャオから戦いを挑まれると、さっさと移動して寝てしまう様子も見られ「譲っているのか、面倒くさいのか、うっとうしがっているのかは分かりませんが、少なくともとことんやる様子ではありません」(大橋氏)という。

上野動物園にとって双子の誕生は初めて。しかもコロナ禍が重なったが、スタッフたちは乗り越えてきた。当初は中国から専門家の招へいを協議していたが、断念。中国側が出産時に24時間の相談体制を取ってくれることになり、和歌山県のアドベンチャーワールドの助言も得ながら準備を進めた。6月18日からは24時間体制に入り、10月15日朝まで実施した(母子同居後の10月23~27日も)。

出産直後は原則、飼育係2人+獣医師1人のチームを3組作り、24時間体制で管理した(ほかにシャンシャンやシンシンの飼育管理を行う組もあった)。子どもを入れ替えながらの管理では、産室の母子には飼育係がおり越しに寄り添い、授乳、採食、睡眠などの状態を観察、1分ごとに記録した。母親には、子どもに集中してもらうため、エサを差し出したり、電解質の水分を口元に持っていったりするなどしてサポートしたという。

この間、担当する20~40代の飼育係と獣医師は、事務所への出入りも最小限にして動物舎に直接出勤するなど、他の職員との接触をできるだけ避けた。「動物の状態変化を見逃さないのは当然ですが、だれでも飼育管理できる動物ではなく、世話する人がいなくなると大変なので、体制を維持できるよう留意しました。幸い、感染者や管理上の不都合は、今のところ発生していません」(大橋氏)。

ようやく1歳を迎えられたことについて、大橋氏は「当園としては初めて双子の飼育の経験を得られたのが最大の成果。大きな不安はありましたが、これまで元気に育ってくれたことに感謝したいです。日本で生まれ育ったパンダたちが今後、保全に重要な役割を果たすことを期待したいです」と話す。

シャンシャンは1歳半(18年12月)で独り立ちした。双子もやがてその日がくる。大橋氏は「いつ、どのように行うか、慎重に検討をしています」と説明している。