安倍晋三元首相の訃報を発表前“フライング”投稿の山口敬之氏「完全な誤報」だったと謝罪

山口敬之氏(2019年12月撮影)

元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(56)が11日までに、自身のフェイスブックを更新。参院選選挙期間中の8日に奈良市内での街頭演説中に銃撃され、亡くなった安倍晋三元首相について、自民党などから公式に訃報が発表される前に安倍氏が亡くなったと、先走ってフライングで投稿した件について、信頼できるとした情報筋からもたらされた情報が誤っていたものの、確認が不十分なまま投稿した「完全な誤報」と謝罪した。

山口氏は8日午後3時36分、自身のフェイスブックに安倍氏と麻生太郎自民党副総裁と並んでの3ショット写真と併せて

「【安倍さんがお亡くなりになった】信頼できる情報筋から、救命措置の甲斐なく安倍晋三元首相がお亡くなりになったとの情報が入りました。悔しく、残念です。」

との文章を投稿した。ただ、安倍氏の死が自民党関係者によって明らかにされたのは、同日午後5時過ぎで、1時間半近く早い“フライング”だった。

山口氏は10日午後、フェイスブックで

「7/8午後5時前、私は『信頼できる情報筋から、安倍さんがお亡くなりになったとの情報が入りました』とFacebookに投稿しました。しかし、安倍さんの逝去が確認されたのは17:03分でした。私の所に事前に入っていたのは、

・生還不能状態であること

・家族の到着を待って蘇生措置(輸血)を終了するという情報でした」

と関係者から事前に情報を入手した当時の状況を説明。その上で

「そして16時過ぎに『昭恵さんが奈良に到着した』という情報と、さらに『対面後に蘇生措置を止めた』という連絡がありました。ところが、昭恵さんはその時まだ奈良に向かう車中でした。情報を下さった方は『奈良に向かっている』『対面後に蘇生措置を終える』という情報を、誤って私に『奈良に到着した』『蘇生措置を終えた』と伝えてしまったのです。『亡くなったという事ですか?』と確認したら、『そうです』と言われました。念のためもうひと方に電話して確認したところ同様の回答だったため、17時前にFacebookに上記の発信をしました」

と、信頼できる情報筋に提供された情報を再確認し、別の情報筋に確認した結果、同じ回答を得たため、自身のフェイスブックに投稿したものの、情報自体が間違っていたと説明した。

山口氏は「しかし、これは完全な誤報です。安倍さんの生還を祈っていた全ての方々に、深くお詫びします。私があの時点で申し上げられる事は『蘇生の可能性は極めて低いと政府が判断している』という事だけでした。あの時私は安倍晋三さんの銃撃という事態の中で、『聞き知った情報はいち早く伝えなければならない』という強迫観念にかられ、しかも情報確認も結果として不十分でした。冷静さを欠いていたと言われれば、その通りだと思います」

と、情報確認が不十分なまま、誤報を発信したことを謝罪。その上で

「深く反省し、記者の役割とは何かを改めて見つめ直し、基本に立ち返って研鑽いたします。重ねまして、深くお詫び申し上げます」

と重ねて陳謝した。

山口氏のフライング投稿については、いかがなものか、という批判の声がインターネット上を中心になされていた。同氏は8日のフライング投稿後、さらにFacebookで

「私は独自のルートを使って、ご家族にこの事実が確実に伝わっている事を確認して、さらに安倍さんの他の近親者や関係各位にも確認をした上で、皆さんに報告しました。

『ご家族の知る前にSNSで書くとはけしからん』

『情報リテラシーが欠如している』

などと批判する方がいますが、ご家族にどのような情報がどのように伝えられたかを事前に確認していますから、『家族が知る前に発表した』という批判はあたりません」

「また、ご家族に情報が伝わり、昭恵さんが奈良に向かった事を確認した後も、さらに十分な時間をとって各方面に二重三重の確認を取った上で公開したのであって、ご家族への配慮や情報リテラシーの面でも問題があったとは思いません」

「政府が正式に発表するまでは報道すべきではない」という方もいますが、NHKの死亡の第一報は『自民党幹部によると、安倍元総理の死亡が確認された』というものでした」

などと反論していた。