「ミャンマー軍は何をするか分からない」日本人ジャーナリストの解放求め都内で抗議デモ

「久保田徹さんの解放を求める抗議デモ」に参加して即時解放を訴える久保田さんの友人や在日ミャンマー人たち(撮影・鎌田直秀)

ミャンマー国軍の支配に抗議するデモ現場を撮影していた日本人ジャーナリスト久保田徹さん(26)が最大都市ヤンゴンで治安当局に拘束されてから一夜明けた7月31日、都内の外務省前で「久保田徹さんの解放を求める抗議デモ」が行われた。

日本人の友人や在日ミャンマー人など約100人が参加した。SNSなどで呼び掛けた発起人でミャンマー在住歴のある料理研究家の保芦宏亮さん(52)は「ミャンマー軍は何をするか分からない鬼畜テロ集団。久保田さんがいつ殺されてしまうかもわかりません。今すぐに解放を願って声をあげたい」。久保田さんのフェイスブックにあった写真を使ってメッセージボードを作成したが、「ミャンマー軍が消したんだと思う」とすでに削除されている状態だと言う。

昨年、デモ取材中にミャンマーで2度の拘束経験があり、1度は逮捕、起訴されて約1カ月収監されたジャーナリスト北角裕樹さん(46)も「僕の友達、ここに来ている人たちの友達を返してほしい。どうしてデモを取材したら罪になるのか」と強く訴えた。現地の情報から「彼は2週間前に現地に入り、30日の午後に拘束され、現在は(ヤンゴンの)サウスダゴン警察にいるようです」。現地に戒厳令が出ていることで法律などが軍の権限に委ねられていることを懸念しており「早期釈放の可能性もあるが、死刑まであり得る可能性も捨てきれない」と心配した。「彼は非常に真面目で、社会問題に切り込んでいくガッツがあり、友人をつくるのが得意」と人間性も語った。

現地への支援募金活動などを行っているミャンマー人らも集結し、「日本政府は久保田徹さんがすぐ解放されるようにミャンマー軍に圧力をかけろ」などと声を合わせた。参加者の1人は1週間前に久保田さんから滞在ホテルの部屋にミャンマー軍が入ってくる映像が送られてきたことも明かし、事前に警戒されていた可能性も示唆した。

久保田さんは慶大在学中からミャンマーを取材。現在はドキュメンタリー作家として活動している。昨年2月のクーデターで国軍が全権を掌握。市民による抗議活動が続いており、現地への入国方法を周囲に相談していた。【鎌田直秀】