「おもちゃ花火」コロナ禍で売り上げ上昇「騒音、ゴミ、煙」問題解消へあの手この手企業努力

浴衣姿で花火を楽しむ女性たち(若松屋提供)

夏だ、お盆だ、花火の季節だ! 花火メーカー若松屋(本社・愛知県西尾市)東京支店の竹内直紀支店長(47)が12日、玩具花火を楽しむ方法に関し、「一番は誰と、どこでやるかが大事。友人、恋人、家族など、おもちゃ花火(玩具花火)を通じたコミュニケーションが思い出になる」。コロナ禍でも屋外で3密を避けながら「ちょっと非日常でスペシャルな遊び」として注目されている。

玩具花火といっても多種多様だが、「線香花火」は誰しもなじみが深いだろう。みんなで輪になって座り、誰が長持ちするかを競争するのも風物詩の1つだ。「実は先端の火薬が詰まっている少し膨らんだ部分のすぐ上のくびれた部分を、少しひねると持ちが変わってきます」。きれいな赤い玉をつくる裏技だ。「さらに45度くらいに斜めに持つのがいいんです。紙がよってあるところを玉が昇っていって火花が出るので、真っすぐよりも接地面が広くなるので落ちにくいです」。点火直後に短い火花が重なる「牡丹」、激しく飛び散る「松葉」、枝が垂れるような「柳」、花びらが咲いて散ってを繰り返すような「ちり菊」の4変化は趣深い。さらに、先端に紙部分がある棒状の「ススキ花火」は「先端をちぎると火がつきやすいです」。

花火業界としては、下降気味だった売り上げがコロナ以降は上昇傾向にある。若松屋でも首都圏や大都市では約2割増。「騒音、ゴミ、煙が問題視されてしまう点なんです」。騒音を企業として監視するのは困難なため、同社では花火が実施可能な公園を検索出来るアプリ「Hanabi-Navi」を提供。現在は東京、大阪、横浜、名古屋、福岡版が掲載されている。

ゴミ改善にはパッケージに簡易バケツが付いた新商品を発売。都心向きの煙が少ない花火のセットも人気だ。近年はオール電化、電子たばこなどの普及もあって、親世代を含めてライターやマッチ使用する頻度も減少傾向。「花火を見たいからといって顔を近づけてしまったり、火が熱いと分かっていない子どもたちも多い気がします。花火を通じて『火育』なども考えながら、正しく楽しく遊んでもらいたい」。今夏は花火が100倍楽しくなりそうだ。【鎌田直秀】

◆玩具花火 自宅や広場などで楽しむ手持ち花火や地面に置く花火の総称。細長い筒状の紙管に火薬が入ってススキの穂のように火花が噴き出す「ススキ花火」、練り火薬を巻き付けた棒がパチパチと音を立てながら花のように飛び散る「スパーク花火」、長手牡丹(東日本)スボ手牡丹(西日本)の2種類がある「線香花火」、持ち手にかわいい動物などが描かれた「絵型花火」、地面に置いて噴水のように噴き出す「噴出花火」、星や火の粉を出しながら打ち上がる「打上花火」、次々と色付きの花火を放出する「連発花火」、細口の空き瓶などに立てて20メートル近く飛ぶ「ロケット花火」などがある。