プーチン氏の「頭脳」と呼ばれる側近の娘が爆死か 帰宅中の車爆発、テロの可能性も 露メディア

ロシア・プーチン大統領(2018年6月撮影)

ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領の世界戦略観に大きな影響を与えたとされ、「プーチンの頭脳」とも呼ばれる極右地政学者のアレクサンドル・ドゥーギン氏(60)の娘ダーリアさん(29)が20日夜、モスクワ郊外で自動車爆弾で殺害されたとロシアのメディアが報じ、テロの可能性が浮上している。

米オンラインメディアのデイリー・ビーストによると、ロシアの報道機関がSNSテレグラムに爆発して炎上する車の映像を投稿して、ドゥーギン氏の娘が爆発で即死したと伝えているという。映像では炎に包まれた車の残骸を前に両手で頭を抱えて取り乱すドゥーギン氏らしき人物の姿も映っている。爆発に関して、当局から正式な発表はなく、現時点で運転手の身元も公表されていない。

またロシアの情報機関による情報として、ドゥーギン氏とダーリアさんは文学と音楽の祭典に参加し、自宅に帰る途中だったという。ドゥーギン氏はダーリアさんと一緒に同じ車に乗る予定だったが、直前になって別の車に乗ることになったとの情報もあり、ウクライナ侵攻を背後で導いたとも言われるドゥーギン氏を狙ったテロだった可能性も指摘されている。爆発はダーリアさんが運転を始めて10分後に起きたと伝えられている。

ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派指導者デニス・プシーリン氏は、ウクライナ政権のテロリストがドゥーギン氏を暗殺しようとし、娘を爆死させたと非難している。親ロシア派のSNSには、ウクライナが爆発の原因だと非難する声が多く寄せられ、ロシア国民に「復讐」を呼びかける投稿も相次いでいるという。

ウクライナ侵攻を支持していたダーリアさんは父の跡を継いで哲学者、政治学者、政治評論家としてのキャリアを追究していたといい、親子で米国の制裁対象になっていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)