渋谷の中3刺傷事件は自己破滅型の犯罪 親子関係が犯行の直接の原因とは思えない/識者

東京都渋谷区の路上で母親と娘が包丁で刺された現場付近(2022年8月21日撮影)

東京都渋谷区の路上で20日夜に母親(53)と娘(19)が包丁で刺され、重傷を負い、埼玉県戸田市の中学3年の少女(15)が殺人未遂容疑で逮捕された事件。少女は「自分の母親を殺す練習をしようと思った」「死刑になりたかった」「母親は不機嫌になると態度に表れる癖があり、自分も似てきていると思って殺そうと考えた」と供述している。犯行に及ぶまで、少女の精神状態はどうだったのか? 新潟青陵大学の教授で、犯罪心理学に詳しい碓井真史氏に話を聞いた。

碓井氏 納得できない理由ですけど、少女の「母親を殺す練習のため」という供述は、うそをついていないと思います。無差別といっても誰でもいいわけではない。練習や確認になるような相手、自分が襲いかかって殺せるような2人。あまり人通りのない所にいる状況でターゲットを探したのかなと思います。

親子関係が犯行の直接の原因とは思えません。学校教育や家庭のしつけの問題だけではないと思います。伝わっていることによれば、めちゃくちゃな家庭ではない。母親が「厳しくしたから」「弟と比較したから」と言っていますが、日本中どこの家庭にもあります。他の動機があれば別ですが、常識的には納得できないような、彼女の独特の心の世界があったのかなと思います。ただ「高校生になるのが楽しみ」「部活を頑張ろう」などと思う環境だったならば事件を起こさなかったかもしれないです。

「生きていても良いことない」というような自己破滅型の犯罪。そういう思いを持った人が増えている気がします。孤独と絶望感が無差別殺人につながります。気の遠くなるような話ですが、一人一人が希望を持てる社会づくりが自暴自棄的な犯罪の防止につながると思います。