側近の娘爆死事件、プーチン氏が殺害を企てた可能性 一部専門家が指摘 米誌報道

ロシア・プーチン大統領(2018年6月14日撮影)

ロシアのプーチン大統領に近しい強硬派の国家主義思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリアさんが、20日に首都モスクワ郊外で運転していた車に仕掛けられた爆弾が爆発して死亡した事件を巡り、プーチン大統領が黒幕だった可能性がささやかれている。

ロシアの連邦保安局(FSB)は22日、ウクライナの特殊部隊による犯行だと非難し、実行犯はウクライナ人女で犯行後に車で隣国エストニアに逃亡したと発表している。

一方のウクライナ側は、「ロシア側の作り話」と関与を全面否定している。

「プーチンの頭脳」とも呼ばれ、プーチン大統領の外交政策に影響を与えた可能性も指摘されてるドゥーギン氏が標的だった可能性が高いとみられており、真相は不明ながら反プーチン勢力がその後に犯行声明も出している。

そんな中、裏付ける証拠はないとしながらもプーチン大統領自身によってドゥーギン氏殺害が企てられた可能性が一部専門家の間で指摘されていると、米ニューズウィーク誌が伝えている。

英国会議員のトム・トゥーゲントハット氏は、ドゥーギン氏のロシア政府への最近の批判が原因でプーチン大統領が殺害を企てた可能性があると示唆。また、ドイツの政治専門家もロシアが主張するウクライナ特殊部隊による犯行はうそだと述べ、公開された実行犯とされる女の写真や身分証明者は加工されていると専門家は指摘しており、証拠は捏造(ねつぞう)されたものだと主張している。

西側の情報機関の高官もFSBによる偽旗作戦の可能性を示唆しており、ロシアへのスパイ活動に長く関わってきた元CIA諜報(ちょうほう)員のジョン・サイファー氏は、「誰が何の目的で行ったかは分からないが、ロシア政府がうそをついていることだけは確か。ウクライナによる犯行の可能性は最も低い」と述べている。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領の顧問を務めるミハイロ・ポドリアック氏は、ダリアさんの死によってロシア政府はプロパガンダのシンボルを作り、ドゥーギン氏の国家主義の考えを広め、他の政府宣伝者に対する従順になるための脅しになることなどを理由に、犯行はFSBによるものであるとの見方を示している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)