英国エリザベス女王死去、96歳 25歳で即位してから70年、英国王室史上最長君主として君臨

エリザベス女王(2018年撮影)

英国のエリザベス女王が8日夕(日本時間9日未明)、滞在していたスコットランドのバルモラル城で死去した。96歳。英王室が発表した。1952年(昭27)2月6日、25歳で即位してから70年あまり、英国史上最長の君主として君臨し、英国民だけでなく世界中の人に親しまれてきた女王が、この世を去った。

女王の訃報が発表されると、バッキンガム宮殿など王室ゆかりの施設の前には多くの英国民が詰めかけ、その死を悼んだ。同宮殿や、女王が過ごすことが多かったロンドン郊外のウィンザー城などでは、英国旗が半旗として掲げられた。

エリザベス女王は今年6月、在位70年を祝う祝賀行事に臨み、祝福を受けたばかりだった。女王はこの時、バッキンガム宮殿のバルコニーにチャールズ皇太子夫妻やウィリアム王子夫妻ら、子どもや孫らロイヤルファミリーとともに現れ、健在ぶりをみせていた。ただ、昨年4月、長年連れ添った夫のフィリップ殿下が死去して以来、体調不良が報告されることが増えた。最近はつえを使うなど、歩行に問題を抱えるようになっていたほか、出席が予定された公務を欠席することも増えていた。

エリザベス女王の体調不安は、突然明らかになった。7日(現地時間)、女王の諮問機関である枢密院のオンライン会合が急きょ延期され、休養を取ることを、英王室が発表した。王室がこうした発表をわざわざすることは異例で、ことの重大さをうかがわせた。

8日になると、女王が主治医の管理下に置かれたことが判明。健康不安への懸念が急速に拡大していた。

英メディアやCNNなどによると、女王の体調懸念を受けて、次男アンドリュー王子や三男エドワード王子夫妻、孫のウィリアム王子のほか、王室を離脱して王室との関係が悪化していたヘンリー王子夫妻が、女王の滞在先のバルモラル城に入った。女王は、家族に見守られて旅立ったとみられる。

エリザベス女王の姿が最後に公開されたのは6日、トラス新首相との面会だった。自身の在位中15人目の首相となるトラス氏を任命する様子が、写真で公開された。女王は水色のチェックのスカート姿で穏やかな笑顔をみせていたが、バッキンガム宮殿ではなく、私的な滞在先であるバルモラル城で対応したことも、体調への懸念をうかがわせていた。

トラス首相は8日夜(日本時間9日未明)、首相官邸前で女王の訃報を発表した。2日前に女王に任命されたばかりの首相として、女王の訃報を発表する役回りとなった。