虎党にオススメ、85年阪神日本一の歓喜がボイスドラマで甦る 主人公役・渡部優衣が語る虎愛

阪神の大ファン! 自前のユニホームを着てポーズを決める渡部優衣(撮影・たえ見朱実)

<オトナのラジオ暮らし>

3位に終わった2022年シーズンのプロ野球・阪神タイガース。岡田彰布新監督を迎える来季へ向け、シーズンオフは気分をアゲていきたい-。そんな虎党にぴったりのボイスドラマ「1985タイガース 情熱のトラ男」が、音声サービス「ZOWA」で配信されている。球団史上唯一の日本一となった85年の軌跡を、スポーツ紙の新人虎番記者の成長とともに描く。主人公を演じる声優の渡部優衣(34)が、獣王無敵のタイガースを縦横に語る。【秋山惣一郎】

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-ドラマの舞台は1985年(昭60)。生まれる前です

「もちろん過去の映像で見て知ってはいます。大阪の街はお祭り騒ぎで、すごいフィーバーだったんですよね。その熱気を体感してないんで、いつかは私も、と思ってました。今回、85年の優勝を取材するスポーツ紙の虎番記者という役柄を演じて、その思いがめちゃくちゃと強くなりました。手書きの原稿、ファクス、フィルムカメラに公衆電話。80年代の新聞記者って、そうだったんだって。時代を感じますね。まったく想像もつきませんが」

-自身も熱烈な虎党

「私も含めて家族みんな、野球やソフトボールをプレーする野球一家なんです。父はいつも中継を見ていたし、幼いころからタイガースは身近な存在でした。新庄(剛志)さんが大好きで、お嫁さんになりたいと思っていました。弟とおそろいで赤い(新庄の背番号)5番のリストバンドを巻いて、甲子園に行ったことも思い出です」

-今回の役には、うってつけですね

「オファーをいただいて、本当にうれしかったです。知り合いからもらった85年のリーグ優勝時のチケット(同年10月16日、神宮球場でのヤクルト戦)をお守り代わりに持って収録に臨みました。大好きなタイガースの仕事なので、いいものを作りたいという思いと同時に、生半可な気持ちでやってはいけないとプレッシャーもありましたね」

-テレビ局の熱血アナウンサー役、仲村トオルとの共演

「トオルさんの演技に、スタジオ内のコロナ感染対策のボードを越えるぐらいの熱を感じて、私も『負けないぞ』と食らいついていきました。終わった時はぐったりしちゃったけど、とっても楽しくて勉強になって、私にとって大切な作品になりました」

-現実のタイガースは今季、残念な結果に終わりました

「開幕9連敗した時は、今季は地獄だな、と最下位を覚悟してたのに、最終的にはAクラスに入って…」

-クライマックスシリーズ(CS)でヤクルトに敗れ、日本シリーズ進出を逃した

「あの試合(10月14日、CSファイナルステージ第3戦)は神宮球場で見てました。3-0で勝っていて、翌日のチケットも持ってたんで『明日も行けそうだね』と楽しみに見てました。でも、7回にエラーが絡んで逆転されて…。『こんなことになるなんて』と涙が止まりませんでした」

-その時、ツイッターで「俺たちの野球…」とつぶやきました

「矢野燿大・前監督がよく言っていた『俺たちの野球』がこんな形で終わるのか、と切なくて悔しくて『俺たちの野球ぅ~』って泣くような気持ちでつぶやきました」

-来季は、岡田彰布新監督が就任します

「岡田さんは、今回のドラマでも重要な役どころで大活躍されますし、何より05年のリーグ優勝に導いてくれた方ですから、すごく期待してます」

-05年の優勝は、実際に見ていたのですね

「高校生でした」

-では「334」という数字で何を連想しますか

「時間を見て3時34分だったりすると、ウワってなって、時計に向かって『なんでや! 阪神、関係ないやろ』って言いそうになります。05年の日本シリーズは、今でも悔しいです」

-「Vやねん!」も語り継がれています

「そうやってみんな、タイガースをネタにしますが、なんなんですか。寂しいんですか」

-「334」「なんでや!」「Vやねん!」は、プロ野球ファンの間では知られたネットミームなので、気になる人は調べてもらうとして

「アンチの方も含めてみんなタイガースが好きなんやなって思います。ほっとけないんですよ、きっと」

-日本一から37年、主人公のその後も気になります

「絶頂から記者生活をスタートした主人公は、90年代の暗黒期をどんな気持ちで取材してたんでしょうか。03年、18年ぶりのリーグ優勝は、うれしさもひとしおだったと思います。記者として、人間としての主人公の成長も演じてみたい。みなさん、たくさん聴いてください。そして続編の要望を寄せてください!」

◆「1985タイガース 情熱のトラ男」 神戸のスポーツ紙「タイムリースポーツ」の記者、三沢友実(声・渡部優衣)は入社2年目の若手記者。85年春、大阪テレビの名物アナウンサー、鶴田泰幸(声・仲村トオル)に密着取材するよう命じられる。小説家志望で野球に興味がない友実と「ミスタートラ男(おとこ)」の異名を持つ熱血アナ、鶴田。相いれない思いを抱える2人だが、取材を重ねるうちに、心を通わせあうようになる。そして迎えた21年ぶりのリーグ優勝を決めた日、実況席に鶴田の姿は…。阪神が、球団史上唯一の日本一に輝いた伝説のシーズンを、実在の選手、球団幹部、エピソードを交えながら、トラ番記者、実況アナの視点で描く。監督・脚本、内片輝、声の出演は他に金田明夫など。本編8話と監督、声優によるスペシャルトークを9月末から配信している。

◆ZOWA ウェブアプリでエンターテインメント作品を提供する「viviON」(ヴィヴィオン=本社・東京)が運営する動画音声サービス。2020年(令2)2月にスタートし、22年10月現在、音声、動画合わせて2万3000作品をラインアップしている。一般のクリエーターが投稿する、物音や咀嚼(そしゃく)音など聴覚を心地よく刺激する音声(ASMR)作品がメイン。広告が入らないため、入眠時やリラックスしたい時にストレスなく聴ける。ほかにもボイスドラマやトーク番組、地方の観光地と連携した環境音など、幅広いジャンルの音声コンテンツを提供している。主にスマートフォンアプリで聴取できる。

◆渡部優衣(わたなべ・ゆい)1988年(昭63)、大阪府箕面市生まれ。10年に声優デビュー。東京スカイツリーの公式キャラクター「ソラカラちゃん」、ソーシャルゲーム「THE IDOLM@STERミリオンライブ!」の横山奈緒役をはじめ、数々のアニメ、ゲームの声を担当。出身地で「箕面声優大使」を務める。自他ともに認める熱狂的な阪神ファン。